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【神奈川】

鎌倉国宝館 戦中の活動に光 開館90周年で特別展

初めて展示された庶務日誌=いずれも鎌倉市で

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 中世の美術品などを中心に収蔵する鎌倉市立博物館「鎌倉国宝館」(雪ノ下2)で、開館90周年を記念した特別展「鎌倉国宝館1937−1945〜戦時下の博物館と守り抜かれた名宝」が開かれている。日中戦争から太平洋戦争までの戦中、収蔵品の疎開などもしながら展示を続けた活動に光を当てた。開館の準備段階から書き継がれる業務日誌も初めて紹介している。 (北爪三記)

 同館は一九二八(昭和三)年四月、鶴岡八幡宮境内に鎌倉町(当時)が設立。二三年の関東大震災で地域の社寺が被災したのを受け、文化財を保護・展示しようと建てられた。二〇〇〇年には本館が国の有形文化財に登録されている。

 長い歴史の中で、とりわけ苦難が多かったのが戦中だった。学芸員の金子智哉さん(41)は、市文化財課に在籍していた約四年前、同館の業務が書き継がれている「庶務日誌」の存在を知り、休みを利用して読み始めた。

 開館三カ月前の二八年一月から始まる日誌によれば、四四年五月には重要な文化財を空襲から守るため、一部を津久井郡串川村(現相模原市緑区)の土蔵に疎開させた。疎開後は、近隣の寺に交渉して代わりに展示する仏像を借り入れ、リヤカーで運んだという。職員が木の伐採などの勤労奉仕に駆り出されても、休館することはなかった。

戦時下の展示を再現した会場に立つ金子さん

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 金子さんは「戦時中も展示を続け、お客を迎え入れていたとは知らなかった。『展示を見てほしい』という職員の思いと努力があったからだと思う。それが分かるのも記録を残してくれたおかげ」と話す。

 特別展は日誌などを基に、当時疎開させた国宝「当麻曼荼羅(たいままんだら)縁起絵巻下巻」(光明寺)や、借り受けた「文殊菩薩坐像(ぼさつざぞう)」(常楽寺)、「水月観音菩薩坐像」(東慶寺)、日中戦争中の三九年に開かれた「元寇(げんこう)展」の再現など、約四十五点が並ぶ。

 十二月二日まで。月曜休館で観覧料は一般六百円、小中学生二百円。十一月二十三日午後一時半から、記念シンポジウム「鎌倉国宝館九十年の歩みとその未来」が鎌倉商工会議所地下ホール(御成町)で開かれる。入場無料。問い合わせは同館=電0467(22)0753=へ。

 

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