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【神奈川】

川崎区のビル地下火災 炎、ダクトから店外へ 清掃や点検呼び掛け

飲食店を巡回してダクト火災への注意を呼び掛ける消防署員たち=川崎市川崎区で

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 三日午後七時十五分ごろ、川崎市川崎区砂子一の七階建てビル地下一階の居酒屋から出火し、男女三人が煙を吸うなどして軽いけがを負った。火が調理場から排気ダクトに流れ込んで店外に出たことが市消防局への取材で分かった。焼き鳥店など、じか火を扱う飲食店の中にはダクトの清掃や点検が不十分な店もあり、同局は火災予防運動(九〜十五日)に合わせて重点的に注意を呼び掛けている。 (大平樹)

 市消防局によると、調理場の鉄板で油分が多いぼんじり(鶏のしっぽの肉)を焼いていたところ、油分を含むガスに火が付いた。換気扇を通じてダクト内に引火し、店の外に煙と炎が吹き出した。消防車や救急車など計十二台が出動し、約一時間半後に鎮火。同局はダクトの清掃状況や防火管理態勢について店の関係者から聞き取りを続けている。

 市内では過去五年間、飲食店や小売店でダクト火災が今回を含めて二十八件発生した。今年は三件目。三月には川崎区小田の焼き肉店がダクト火災で全焼した。ダクト内の油汚れに引火したり、客が焼き肉をしていた火がダクト内に延焼したりしたものが多く、けが人が出たのは二〇一五年四月以来だった。

 担当者によると、建物の構造によってダクトの長さが変わるため、清掃間隔を具体的に定めた法律や条例はない。ダクトには、高熱になったら外気を遮断して延焼を防ぐダンパーなどの安全装置が備わっているが、油汚れなどがたまると閉まらないこともある。市消防局は、長年掃除していないダクトの写真などを載せたチラシを店に配り、定期的な点検と清掃を呼び掛けている。

 「チェーン店などでは価格を下げるため、経験が少ないアルバイト店員を調理に当たらせたり、清掃にかける費用を惜しんだりしている店もあるのではないか」。市内で焼き鳥店を営む四十代男性は話す。市消防局の担当者は「どんな設備でも、使うのは人。点検や清掃の徹底を含めて防火管理意識を高め、火災予防につなげたい」と語った。

 市内の今年の火災発生件数は六日時点で二百七十九件で、昨年同日比八件増。昨年は一年間の発生件数が過去最低の三百三十一件だった。市消防局は最低の更新に向けて、火災予防運動の期間中に各消防署で啓発活動を行う。

     ◇

 ダクト火災に詳しい東京理科大工学部の倉渕隆教授(建築環境工学)は「飲食店の火災件数は増えている。ダクト火災による死者はまだ出ていないが、幸運にすぎない」と警鐘を鳴らす。「欧米には暖炉がある家庭もあり、排気用の煙突を備えた建物が多く、煙突を掃除する文化がある。日本にはダクトを掃除する文化がない。飲食店間の価格競争もあり、コストをかけて掃除できていないのが現状だ。消防が定期的な清掃をしている店を表彰するなど、店側にとってのメリットを打ち出すことも必要ではないか」と指摘した。

 

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