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【神奈川】

<元気人@かながわ> 子供のための国際音楽交流協会理事長 岩井光祐さん(71歳) 

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 雨期直前の乾いた大地に君が代の旋律が響く。赤道直下の東アフリカ・ウガンダ。首都カンパラの小学校を昨年三月初め、三年ぶりに訪れ、児童三千人に迎えられた。前回訪問した二〇一五年夏に寄贈した楽器を持つ代表二十人が歓迎演奏し、「大切に使って練習してくれたんだ」と胸が熱くなった。

■音楽隊の結成が夢

 前回訪問時は、箱根町の函嶺白百合学園小や、南足柄市立小などから寄せられた中古の鍵盤ハーモニカと笛計七十個を手渡した。今回は初訪問五校を含むウガンダとタンザニア、ルワンダの七校に計二百個の楽器をプレゼントした。

 「子供のための国際音楽交流協会」(南足柄市)はこれまで、アジアとアフリカ六カ国の二十二校を訪れ、届けた楽器は千個近い。楽器も音楽の授業もない貧しい地域の小学校が多い。

 現在、カンパラに音楽教室を開く準備を進めている。解散したマーチングバンド五十人分の楽器一式を昨夏、現地へ送り、「将来的に国の式典で演奏するようなマーチングバンドをつくりたい」と夢見る。

 現地の中心者は、活動で知った在日ウガンダ大使館の元参事官の女性。日本駐在時代、三人の子を音楽教室に通わせた。情操を育むお稽古文化を母国に広めたいと、協力を惜しまない。

■銃より楽器を持って

 活動の源流は南足柄市立岩原小のPTA会長時代にさかのぼる。「卒業後は使われない楽器が惜しい」と、仕事で訪れた南米・ペルーの学校に鍵盤ハーモニカや笛を贈り、喜ばれた。

 在職中は石炭、金や銀を含む金属資源の売買で世界を回った。商談一回で数十億円が動く。その陰で極貧の子どもたちも目にした。犯罪組織や民兵に駆り出され、武器を持つ子もいる。

 社長だった五十八歳で退職。「商談では政治や宗教の話はしない。音楽の話題だと誰とでも仲良くなれた」と話す。「銃より楽器を」と二〇一〇年、会を一人で設立し、「平和の輸出」を理念とした。現在は二十五人の仲間と活動する。

 「音楽は国や民族、宗教などあらゆる違いを超えて共感の輪を広げ、喜びが響き合う。楽器のある学校を増やしたい。戦争がなく、音楽であふれる地球を子どもたちに残したい」。そう願っている。 (西岡聖雄)

◆私の履歴書

1947年 東京都に生まれる

  68年 スペインの大学や言語学校に留学

  71年 帰国、外資系金属貿易会社に就職

      以降、同業数社の役員を歴任

  93年 南足柄市立岩原小PTA会長(2年間)

2006年 退職。海外で趣味のサクソホン学ぶ

  10年 子供のための国際音楽交流協会設立

  17年 会がNPO法人として認証

 

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