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【神奈川】

「地震が起きたら とにかく高台へ」3・11の教訓 児童90人救った決断の裏側語る

「想像力を働かせ、災害に備えて」と語る菅野さん=横須賀市で

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 東日本大震災で津波の被害が甚大だった岩手県陸前高田市の市立気仙小の元校長、菅野祥一郎さん(68)の講演会が一日、横須賀市総合福祉会館であった。児童約九十人全員の命を救った高台への自主避難をなぜ決断できたかなどを語り、「災害は人ごとではない。想像力を働かせて、備えてほしい」と訴えた。

 陸前高田市は、震災による死者・行方不明者が千七百人を超えている。同小は海まで一キロも離れておらず、強い揺れに襲われた瞬間、所用で学校を離れていた菅野さんの脳裏に「津波」の二文字がよぎった。「戻らねば」。通行止めの橋などを迂回(うかい)しながら、必死で車を走らせた。

 約三十分後、学校に着くと、児童や住民らが校庭に並んでいた。「なぜ避難しようとしないのか」。裏山の高台につながる斜面の丸太の階段を使い、児童らを移動させるとすぐに決断。その後、迫ってきた津波が校庭と校舎をのみ込んだ。児童ら全員が助かる一方、高台に避難せず、命を落とした住民もいた。

 地域の一時避難所にも指定されていた同小。裏山への避難は震災時のマニュアルになかったというが、「地震が起きたら津波が来る」「とにかく高台へ」との昔からの教えが、とっさの判断につながったという。「今はテレビや防災無線の情報に頼りがち。便利さに頼る社会は災害に弱い」と指摘。「大事なのはマニュアルを守るのではなく、命を守ること。教訓を忘れないで」と語った。

 講演会は、数千年に一度クラスの地震時、最大十メートル超の津波に襲われる恐れのある横須賀市が、市民に避難などの参考にしてもらおうと開き約二百人が集まった。 (福田真悟)

 

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