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【神奈川】

多選 有権者どう判断 10日告示 厚木市長4選出馬へ

告示を前に設置された市長選のポスターの掲示板=厚木市で

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 首長の多選は何期までが許容範囲とみなされるのか−。統一地方選と参院選が実施される「選挙の年」の第一弾として、十日に厚木市長選が告示される。出馬の意向を示しているのは、自ら任期を連続三期までとする条例を定めた四選を目指す現職と、新人二人。告示を前に「多選」について考えた。 (曽田晋太郎)

 「多選は理解しており後継者も考えたが、手掛けた仕事を自ら全うすべきだと決断した」。厚木市の小林常良市長(69)は昨年末、市議会で立候補表明した後の記者会見でこう述べた。小林市長は二〇〇七年、四選を狙った現職を「市政に閉塞(へいそく)感がある」と批判して初当選し、就任後に多選自粛条例をつくった。

 任期が長くなると、行政の安定性と継続性が保たれるといった利点がある一方、マイナス面も少なくない。首長には人事権や予算編成権などが集中することから独善的になり、腐敗しやすいとされる。

 市長選には県議の佐藤知一さん(49)と元市議長の石射正英さん(65)も立候補の予定。厚木市民はどうみているのか。稲富利生さん(71)は「まちの発展のため、まじめに取り組んでいれば多選でも問題ない」と話す。主婦(65)は「長く首長をしていると業者や議会との癒着が生まれる。風通しを良くするため、若い人への交代も必要」と訴えた。

 首長の任期を縛る条例は全国にある。二〇〇三年の東京都杉並区以降、各地に広がり、県内では横浜市や藤沢市などが定めている。いずれも三期を上限にし、憲法が定める「立候補の自由」や「職業選択の自由」を侵す恐れがあるとして努力義務にとどめている。

 条例が制定された背景には、多選が当然だった時代が長く続いたことへの反動がある。中央集権で地方の権限が弱かった一九六〇〜九〇年代前半、財源確保など国への陳情に一致協力する必要があり、与野党相乗りの首長が台頭。新人の当選は困難だった。

 それが、ゼネコン汚職と官僚の接待が問題化した九〇年代半ばごろから、完全無所属や多選回避をうたう首長が各地で誕生。有権者の意識も、政治腐敗からの転換を求めて変わっていった。県内でもかつては五選、六選が珍しくなかったが最近は少なくなり、昨年は秦野と逗子の市長選で三期務めた現職が敗れている。

 四月の統一地方選では、相模原と大和の市長選が共に、四選を狙う現職と新人が争う構図になる見込み。大和の現職は、厚木市と同様の自粛条例を自らつくっている。

 有権者は何を基準に投票するべきなのか。地方自治総合研究所(東京)の辻山幸宣(たかのぶ)所長は「有権者にも責任が生じる。自分の一票がまちの行方を左右すると考えて投じてほしい」と話す。東北大の河村和徳准教授(政治学)は「その自治体が置かれている環境によるので、一概に多選がいけないとはいえない。市民目線で政策を進める人物を選ぶべきだろう」と指摘した。

 

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