東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

がん患者の離職を防げ 横浜市大病院 治療に専念できる仕組み導入

ソーシャルワーカー(右)に仕事の相談をする相模原市の男性=いずれも横浜市金沢区で

写真

 治療中のがん患者が仕事を辞めないで済むようにしようと横浜市立大付属病院(金沢区)は、ソーシャルーワーカー(SW)が医師との間に入って把握した患者の情報や意向を勤務先と共有し、理解を深めてもらう仕組みを導入した。全国でも珍しい試みで、様式を改めた診断書を取り入れるなどして後押しする。 (加藤益丈)

 同病院が取り組みを始めたのは昨年十二月。がん治療に伴う離職を防ぐため厚生労働省が同四月、両立を支援する医療機関に診療報酬を加算するようにしたのを受けた措置だった。

 まずSWが話を聞き、希望する患者には「勤務情報提供書」に記入してもらう。「体を使う作業」「車の運転」「パソコン作業」などの欄にチェックを入れるほか、勤務時間帯や通勤方法、利用できる休暇制度などを書き入れられ、患者が職場で置かれている状況が一目で分かる。

 従来、病名や付記などの欄しかなかった診断書も、主治医が提供書の情報を基に記入する欄を大幅に増やしたものを加えた。患者の症状や治療の予定、職場で配慮してほしい事項、就業が(1)可能(2)条件付きで可能(3)現時点で不可−のどれに当たるかなどを記載する。

 相模原市の団体職員の男性(51)は昨年十二月に同病院で舌がんの手術を受け、ろれつが回らないといった後遺症が残った。ところが主治医は「手術した場所以外は健康。『療養が必要』という診断書は書けない」と告げた。

 そこでSWに相談し、仕事で電話でのやりとりが欠かせないことを伝えると、主治医は「現時点で就業不可」とした診断書に書き直してくれた。男性は「上司は病気のことを理解してくれているが、休暇を取るには診断書が必要。安心して治療に専念できる」と喜んだ。

 これまでも、患者が仕事の状況を医師に伝え、診断書に反映されるケースはあった。ただ、システム化したことで意思の疎通が図りやすくなり、患者の意向をより正確にくみ取れるようになった。仕組みを整備したSWの友田安政さん(39)は「体ばかりを見がちな医師に、患者も仕事を持っている人間であると認識してもらうのが一番の狙い」と話す。医師からも「患者の仕事内容を把握できて助かる」と好反応という。

 友田さんは「がんだけでなく、働く世代に多い脳梗塞や脳出血なども診療報酬加算の対象にしてほしい」と国に注文を付けた。

従来の診断書(左)と、患者への配慮事項などを記入する欄を設けた新しい診断書

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報