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【神奈川】

お薦めの本 紹介スタート 東京理科大栄誉教授・筆者の藤嶋昭さんに聞く

自身が薦める良い本について話す藤嶋昭さん=東京都新宿区の東京理科大で

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◆研究のセンス磨く基礎

 抗菌や汚れ防止、空気の浄化など、地球をきれいにする技術として注目される「光触媒(ひかりしょくばい)」。その現象を世界で初めて発見した東京理科大学栄誉教授の藤嶋昭さん(77)=川崎市中原区=は、全国に出かけて理科の出前授業とともに、「良い本を読もう」と呼びかけている。そこに込めた願いを尋ねると「読書こそ、豊かな発想のもとですから」と語った。 (聞き手・石川修巳)

 −読書を勧めるようになったきっかけは。

 理科離れをいかに防ぐかが私の大事な役割なので、出前授業で理科の面白さを伝えています。今月だけで八回も。みんなとても感動してくれる半面、本をあまり読んでいないことがわかるんです。

 −科学と読書の接点は。

 良い研究成果をあげるには広い教養とともに、発想するセンスが必要。センスを磨く簡単な方法が、良い本をたくさん読むことなんです。空はなぜ青いか、氷はなぜ水に浮くのか。身の回りの不思議さに気づくと、毎日が発見です。読書などでまずは知ることが大事だし、どんどんセンスが磨かれていきます。

 −「良い本」とは。

 感動する本です。たとえば、私が尊敬する科学者マイケル・ファラデーの「ロウソクの科学」。一本のロウソクが燃える現象を面白く解き明かす内容です。空気は暖めると軽くなる−それひとつをとっても、面白いでしょう。

 −読書は光触媒研究にも役立っているのか。

 そうですよ。やっぱり本を読んで知識を得て、いろんな発想をしますから。実験の結果が予想通りになるのはいいことだけども、実は大したことない。予想外の時ほど、チャンスなんです。光触媒の発見もそう。いかに少ない電力で、水を電気分解できるかという実験はやっていても、光を当てるなんて誰も考えていなかった。

 −一押しの一冊は。

 かこさとしさんの「ピラミッド」ですね。四千年以上前に、二百七十万個もの石を積み上げたクフ王のピラミッドは、なぜ崩れていないのか。一つひとつの石を硬い木で削り、ちゃんと寸法も出している。つまり基礎が大事なんだよ、小中学生は今が大事なんだよ−。それを、この本が教えてくれるんです。

<ふじしま・あきら> 1942年3月生まれ。77歳。川崎市中原区在住。東京大学大学院在学中の67年、酸化チタンに光を当てると、水を酸素と水素に分解する「光触媒反応」を発見。汚れ防止や抗菌、空気浄化などに応用されている。2017年文化勲章、18年川崎市名誉市民章。現在は東京理科大栄誉教授。

 

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