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【神奈川】

シャッター通りに活気を 横浜・藤棚商店街が舞台 映画「カラオケや兆治」

神社で行われた撮影で、悪党に立ち向かう演技をする住民ら=横浜市西区で

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 大型店やネット販売などに客を取られて、シャッターを下ろす店が多い商店街を元気にしようと、1本の映画が作られた。横浜市西区の藤棚商店街が舞台の「カラオケや兆治」。エキストラを募集していると聞き、盛り上げに少しでも役立てればと思い、記者も参加してみた。 (福浦未乃理)

 「あれ、兆治くん、運命線がグッチャグチャだね」。主人公のカラオケパブの店主役、元シブがき隊の布川敏和さん(53)が、常連客役の女優原めぐみさん(58)に手のひらを見せた。

 二月下旬に商店街の一角で行われた撮影。記者にあてがわれたのは店で食事を楽しむ客の役。「マイクが音を拾ってしまうから、声は出さないで」と監督の市川徹さん(70)。他の八人とソファに座って口だけ動かし、うなずいたり、壁のメニューを指さしたりした。

 同市鶴見区在住の市川さんはテレビ神奈川に十四年間勤めた後、一九九三年に映画監督に転身。地域おこしをテーマに映画を撮影してきた。同商店街との縁は高校時代にさかのぼり、近くに住んでいた恋人を送ってきて、人通りの多さにびっくりしたという。

 それが一昨年、四十数年ぶりに訪れて、あまりの変わりように驚いた。横浜を代表する商店街の一つとして隆盛を誇った場所が、高齢化と後継者不足もあって多くの店がシャッターを下ろしていた。

 昨年八月、自身の作品を上映してくれていた商店街近くの映画館「シネマノヴェチェント」と同じ建物の店が閉まると聞き、「ここで映画を撮影し、上映もしたい」と、カラオケパブ「ピュアステージ」をオープンした。映画の撮影には、エキストラなどで多くの人の協力が必要。市川さんは「人のつながりが深まり、『この街に住んで良かった』といつか思えるようになればと考えた」と振り返る。

 記者が演技をするのは小学校の学芸会以来。うまく演じられたか自信はないが、皆が街に愛着を持っていることはよく分かった。三月上旬に近くの神社で行われた撮影には、約五十人の住民がエキストラとして参加した。商店街でかまぼこ店を営む今井宏之さん(39)は「それまであいさつ程度だった人とも、映画をきっかけに話すようになった。町内会で映画のチラシを配ってくれた人もいる」と語る。

 記者が初めて商店街を訪れたのは、昨年八月に新人で横浜支局に配属されて間もないころ。人通りがまばらでお世辞にも活気があるとは思えなかったものの、一軒、一軒に温かみがあり、見ず知らずの記者に「休憩して行きなよ」とお茶まで出してくれた。映画の撮影は、そんなすてきな場所に活気が戻るきっかけになるのではないか。ふと、そう感じた。

 <カラオケや兆治>主人公が藤棚商店街の一角にカラオケパブを開いて、穏やかな日常を送っていたある日、商店街を地上げしようとたくらむ男が現れて、常連客や住民らと一緒に立ち向かうというストーリー。シネマノヴェチェントで六月ごろまで不定期で上映し、料金は一律千五百円。問い合わせは同映画館=電045(548)8712=へ。

 

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