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【神奈川】

米軍「根岸住宅地区」の元住民 国への損賠請求棄却

 在日米海軍が管理する「根岸住宅地区」(横浜市中区、南区など)に住んでいた山本嘉平治さん(百四歳)が日常生活を不当に制限されたとして国に約四億二千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(高宮健二裁判長)は十九日、請求を棄却した。

 同地区は一九四七年に連合国軍総司令部(GHQ)が接収し、その後は米軍が管理。二〇〇四年に日本への返還が決まり、一五年には米軍関係者が完全に退去している。山本さんは地区のほぼ中央に土地と建物を所有し、一九四四〜二〇〇三年に居住。訴状によると外出には通行パスが必要で、〇三年のイラク戦争の際は立ち入りが許されず、帰宅できないこともあった。

 判決は、パスの所持など一定の制約を受けたことは否定できないとしつつ、「生活上の受忍限度を超えるとまではいえない」などとして訴えを退けた。

◆「私の訴訟に影響出るかも」同じく争う男性 募る不安

カラフルな米軍関係者の住宅と、佐治さんの自宅(手前)=横浜市で

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 「私の訴訟にも影響が出るかもしれない」。同地区に長年住み、同様に損害賠償を求めて国と争っている佐治実さん(71)は判決内容を聞いて不安を募らせた。

 整備された芝生に水色、薄ピンク、黄色など色とりどりの住宅が並ぶ同地区。英語の標識もある洋風な街並みの中に木々が生い茂り、トタン屋根の古い住宅が立つ一角がある。戦後の混乱期になぜか接収されずに残った日本人の私有地だ。

 水道を引くための許可を米軍から得るのに二十五年かかるなど、「当たり前の生活をするのにかなりの努力が必要だった」と佐治さん。現在は通行パスなしで自由に出入りできるようになったが、親族や友人を招く時はゲートまで迎えに行かなければならない状況は変わらない。

 「ここから退去するにも、利用価値がほとんどない土地を買う人なんていない。国は私たちの苦労に見合った額の賠償をすべきだ」と訴えた。 (鈴木弘人)

 

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