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【神奈川】

両陛下へ「祈りの花束」 葉山在住の詩人と作曲家 ご成婚60年祝う曲作る

祈りの花束の歌詞を手にする堀口すみれ子さん=いずれも葉山町で

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 退位を目前に控えられた天皇陛下、皇后さまと約20年にわたり、本や音楽を通して親交を重ねてきた葉山町の詩人堀口すみれ子さん(74)と作曲家尾高惇忠さん(75)が、ご成婚60年を祝う曲「祈りの花束」を作った。国民に心を寄せ、共に歩む両陛下への祝福の気持ちが込められている。 (北爪三記)

 「まあ、うれしい」。一月二十三日の堀口さん宅。葉山御用邸で静養中の両陛下を迎え、完成間もない曲のことを堀口さんが切り出すと、皇后さまが歓声を上げた。尾高さんのピアノ伴奏で声楽家の妻綾子さん(75)が歌い、二回披露。両陛下は譜面を手に、にこやかに顔を見合わせながら聴き入り、「ありがとう」と喜んだ。

 「良いタイミングでお聴かせできました」。堀口さんが振り返る。始まりは、詩人で仏文学者の父堀口大学(一八九二〜一九八一年)の思い出をつづった著書だった。二十年以上前、皇后さまから初めて御用邸にお茶に招かれ「良いご本ね」と声を掛けられた。

 やがて、年に一度ほど両陛下を自宅に迎えるように。玄関での靴の脱ぎ履きをはじめ、さりげなく互いを気遣うお二人を目の当たりにしてきた。ある時、同席した人が、被災地でつらい思いを引き受けてどうされているのか、と尋ねたことがあった。皇后さまが「ここが、ね」とだけ言って胸に片手を当てたのが、堀口さんは忘れられない。

 「お二人だけにしか共有できない喜びや悲しみ、そういう日々を重ねて今、拝見するお二人になられたんだなと。同じように白さを増す髪や立ち姿、お顔や表情も似ていらっしゃるのを拝見していて、感動するんです」。歌詞に込めた思いを語る。

 尾高さんも同様の思いを抱く。印象的なのが、自宅に迎えた際、両陛下が音楽を楽しむ時の様子だ。ピアノを弾く皇后さまが「音楽の喜びを顔一面に表現されているのは、音楽家としてもとてもうれしい」。綾子さんは「陛下もそういう雰囲気の中でうれしそうにしていらっしゃる。私たちも幸せな気分になるんです」と言葉を継ぐ。

 十ほど年上の両陛下。尾高さんは「平成が終わり、これからどうしようというのは、われわれは両陛下に学ばせていただけばいい。ああできたらいいな、という生き方をされると思いますね」と話す。

 「祈りの花束」は、町民らでつくる改元奉祝実行委員会が、十月二十二日に町内で開催する記念式典・コンサートで披露される。

◆祈りの花束

敬い いつくしみ合って 六旬の年月

きよらな 時の流れは

いま 汪洋(おうよう)の海となった

ときに 清漣(せいれん)をつつむ 太陽

そして夜を照らす 月

困難に手をたずさえて いま

宮居に響く みたまのしらべ

御苑(みその)に宿る 連理の枝

つつがなく よろこび多いことを

祈りの花束にして贈ります

祈りの花束を作曲した尾高惇忠さん(左)と綾子さん

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