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【神奈川】

令和の川崎 未来を描く

 令和の時代が幕を開けた。150万人が暮らす川崎市に、どんな未来が待っているのだろう。地域の課題と向き合いながら、懸命に日々を生きる人たちに、新時代に成し遂げたいことを聞いた。

◆川崎大師の和菓子店主・森明弘さん(51) 日本の雰囲気 外国人に

「地域で外国人観光客へのおもてなしの機運を高めたい」と話す森明弘さん=川崎区で

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 川崎区の川崎大師平間寺の目の前で、百年以上続く和菓子店を経営しています。

 周辺の仲見世通りの買い物客は子どものころに比べて減りました。大師さまが昔から多くの参拝客を集めていることにあぐらをかいてきました。訪日外国人観光客はどんどん増えているのに、誘客に力を入れてこなかったのが本音です。

 二〇二〇(令和二)年には羽田連絡道路ができ、多摩川対岸の羽田空港と大師エリアがつながる予定です。飛行機を乗り継ぐ間の数時間を使って、観光に来る外国人が増えると期待しています。

 仲見世通りに和傘を置くなどして、歩けば日本の雰囲気が感じられるようにしたい。店では約二年前から、菜食主義者やイスラム教徒に対応していることを示す英語パネルを置いていますが、英語の案内表示はまだまだ少ない。地域全体で意識を変えていく必要を感じています。

 店で売るくず餅はお土産の定番になっていますが、地元では食べたことがない人も多いんじゃないでしょうか。観光客の人気を集めるには、地元に愛されないといけません。地域の人に限った定額の食べ放題イベントも面白いかなと考えています。 (大平樹)

◇増える市内の観光客 1220万人→2060万人 

 川崎市によると、1989(平成元)年の市内の主要施設の観光客数は計約1220万人。統計の対象となる施設が追加されたにせよ、人口や外国人観光客が増えて2018年には2060万人に達した。市は14年に策定した観光振興プランで、当時9%だった外国人宿泊者の割合を、25(令和7)年までに10%に引き上げることを目標にした。

 ただ、国内を訪れる観光客は増え、これも達成したので、目標は12%としている。JR川崎駅前を中心に、ホテルの建設ラッシュが続いている。

◆中原「こすぎの大学」リーダー・大坂亮志さん(42) 人が根づく「わが町」に

「この町にはたくさん面白い人がいる」と話す大坂亮志さん=中原区で

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 中原区の武蔵小杉で父が一九七一(昭和四十六)年に眼鏡店を創業してから約半世紀。社宅が多かった地域は上へ、上へとタワーマンションが次々に建って、様変わりを実感しています。

 たとえば、お互いにやろうとしていることは同じなのに、新旧住民の間で考え方も、手法も食い違ってしまう。世代の違いもあるかもしれません。どうしたら、その違いを埋められるのか。みんなで話すと、必ず行き着くのが「集える場がないよね」って。

 ひとつの場づくりとして、二〇一三(平成二十五)年から月一回始めたのが「こすぎの大学」。敷居をできるだけ下げて、楽しく学んでつながるプラットフォームを目指しています。

 講師を決める基準はずばり、僕らが聞きたい話かどうか。自薦・他薦で募集していて、実は半年先まで決まっています。この町にはたくさん、面白い人がいるんですよ。

 引っ越して来た方々が初めは「お客さま気分」だとしても、十年もたてば「わが町」になる。利便性を高めるインフラだけでなくて、人のつながりを育むソフトの力で、もっと地域に根づいてほしい。やがて、武蔵小杉の新たなブランドになると思っています。 (石川修巳)

◇市の人口152万人超、平成元年比37万人増 

 川崎市の人口は右肩上がりになっている。平成が始まった1989年の115万7000人から、昨年は151万6000人(ともに10月1日現在)へ。今年4月には152万人を超え、平成元年から37万人も増えた計算だ。

 中でも、人口増をけん引するのが中原区。平成元年の約18万人から、今年4月には26万人に達した。武蔵小杉駅周辺に立ち並ぶタワーマンションは、川崎の活力を象徴する風景である一方、災害リスクや高齢者・子育て世代の孤立といった都市問題にどう取り組むかも課題になる。

◆麻生の若手農家・市川悟さん(25) 少ない農家 競争より協力

安心で安全な、おいしいトマトづくりにこだわる市川悟さん=麻生区で

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 三年前の五月一日に他界した父の後を継ぎ、麻生区黒川でトマトをメインにアスパラガスやタケノコなどを栽培しています。

 改元初日が命日なので、新時代に特別な思いを感じました。

 トマトは温室の水耕栽培で、環境遠隔モニタリングシステムを導入し、スマートフォンで二十四時間、温室から離れたところからでも室温や水分量を管理しています。市内で水耕栽培のトマトを出荷している農家は、五軒ほど。北部を中心に各区に一軒という感じです。

 納得のいく味を出すには気候の変化を敏感にとらえて水加減や室温をどう調整するかが大事になります。少ない農家で競争するのではなく、貴重な情報やデータを交換し、川崎のトマトを守っていこうとしています。

 令和時代の私の目標は「黒川トマト」を全国的に有名にすることです。

 昨年、麻生区内の若手生産者の会「畑から、台所へ。」を結成し、安全で安心できる野菜を食卓に届けようとしています。また、直売所では生産過程や農薬の量などを説明しています。消費者の方から味や食感を聞き、改善すべき点を栽培に生かしています。(安田栄治) 

◇市内の農地面積、30年で半減 

 川崎市によると、市内の農地面積は1990(平成2)年度に約1058ヘクタールあったが、2018(同30)年度は約549ヘクタールで、半分近くまで減っている。

 農業就業人口も減少。90年度の3098人が15年度には1289人と半数以下に。若手農業後継者でつくる市農業青年協議会に登録している20〜40代の会員は30人ほどという。

 このため、市は農業を守り、次世代に引き継ぐための施策や支援に取り組んでいる。

 

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