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【神奈川】

<かながわ未来人>第60次南極観測隊に参加 横国大教授・石川正弘(いしかわ・まさひろ)さん(52)

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 昨年十一月〜今年一月の三カ月、第六十次南極観測隊の夏隊員として活動した。過酷な環境の中で、南極大陸の形成の謎に迫る調査に携わった。「岩石ができた年代が場所ごとで全く異なり、いろいろな変化が見える」。地質の専門家として、岩石に込められた情報を読み解く。

 南極には土壌や植生がない。雪や氷に覆われていない場所は岩盤がむきだしの状態で、地質の調査に適している。昭和基地周辺には主に二十数億年前から五億年前に形成された岩石があり、その性質や分布を調べることは大陸の成り立ちを解明するヒントになる。

 東北大大学院で地質学を学んでいた一九九一年に第三十三次隊に初参加して以降、五回目の南極。地質調査は雪の少ない夏が適しているため、一年を通して滞在する越冬隊ではなく、毎回、夏隊に加わっている。

 夏といえども、そこは南極。氷点下二〇度を下回る低温や、氷の斜面を吹き下ろす冷たい滑降風にさらされながらの活動になる。過酷を極めたのが、岩山ボツンヌーテン東峰(一、四五〇メートル)の調査だった。

 標高一〇〇〇メートル付近のベースキャンプを拠点に、雪も積もらないほど急峻(きゅうしゅん)な斜面をロープを使って登り、ハンマーで砕いた重さ約二十キロの岩を背負って歩いた。「調査後は経験したことがないような疲労感に襲われた。歩くのも、ハンマーを振るうのもつらく、帰国してもしばらく回復しなかった」と振り返る。

 幼少の頃、小さく白い花こう岩をきれいと感じ、興味を持った。仙台市の高校の地学部に入ると、市内の河川敷などで化石と鉱物を探して歩き、水晶やサメの歯の化石を見つけた。研究者になってからはヒマラヤ山脈やカザフスタン、インド、パキスタン国境のカシミールなど政情の不安定な地域を含め世界中で調査をした。

 行動力の源泉になっているのは知的好奇心。「どんな岩石だとどういった地震が発生するかなど、分からないことがたくさんある。研究を通して地下のことを知り、地球の成り立ちに迫りたい」 (土屋晴康)

 ◇ 

 令和元年。未来に向けて生きる人たちの物語を紡ぐ。 

<南極観測隊> 南極大陸の気象や地質、生物などを調査する部隊で、1956年に第1次隊が出発した。国立極地研究所をはじめとする政府機関の研究員や職員のほか、大学教授、医師、企業のエンジニアらで構成される。第60次隊には過去最大の100人が参加。飛行機で現地入りした先遣隊など以外は、南極観測船「しらせ」で渡った。

 

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