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【神奈川】

妊娠隠し来日、出産「できるだけ働きたかった」 中国人技能実習生に猶予判決

男児が置き去りにされた住宅街の一角=川崎市内で

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 中国人技能実習生による保護責任者遺棄事件で、横浜地裁川崎支部は二十二日、戦美娟(ザンメイジェン)被告(22)に懲役一年六月、執行猶予四年(求刑懲役一年六月)の判決を言い渡した。公判などを通じて明らかになった概要は次の通り。 (石川修巳)

 陣痛があったのは昨年十二月十九日朝。このため勤務先の食品加工工場から帰宅し、昼すぎに独りで出産した。体重三三〇〇グラム余の男の子。「逆子で、赤ちゃんの足が先に出てきた。とても心細く、心配でした」と語った。

 勤務先にも、ルームメートにも妊娠を隠していた。出産当時、ルームメートは不在。「赤ちゃんがいなくなれば、誰にもばれない」。男児を毛布に包んで袋に入れ、自転車をゆっくり走らせたという。

 閑静な住宅街。中から話し声が聞こえた民家の前に、男児を置いて立ち去った。「泣き声で、すぐに気づいてもらえると思った。育てる自信がなかったし、日本の方に育ててもらうのがいいと思いました」

 実習生は妊娠や出産に関して誰にも相談せず、来日後は一度も病院を受診しなかった。「『妊娠が発覚したら強制帰国』と中国で説明されていたから…。できるだけ働きたかった」と被告。

 一方、妊娠などを理由とした不利益な取り扱いを違法とする日本の労働関係法令が、実習生にも適用されることへの説明は「なかった」と述べた。

 実は、妊娠が分かったのは昨年八月、実習生として来日する五日前だった。来日をやめても、両親が既に支払った費用約七十万円は戻らない。「だから、両親にも言えず、そのまま日本へ来た。(妊娠という現実に)目を背けたかったんです」

◆「相談態勢の確立を」会見で福田市長

 川崎市の福田紀彦市長は二十二日の定例記者会見で、技能実習生による保護責任者遺棄事件への見解を問われて、「実習生だけでなく他の外国人や日本人に対しても、妊娠が分かってからの早めの相談態勢を確立しないといけない」と述べた。

 市によると、川崎市内の技能実習生は昨年末現在で千二百九十八人。

 

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