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【神奈川】

<かながわ未来人>「うんこ学会」設立しアプリ開発 医師・石井洋介(いしい・ようすけ)さん(38)

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 大便の観察は病気の早期発見に欠かせないと、二〇一三年に日本うんこ学会を設立した。腸内細菌を擬人化したキャラクターを操作し、病気を模した悪役「悪性侵生物」を倒すスマートフォンアプリ「うんコレ」の開発に取り組み、今夏の配信を目指している。

 本業は医師。山手台クリニック(横浜市泉区)と秋葉原内科 SAVEクリニック(東京都千代田区)の院長を務める。高齢や仕事で通院できない人が頼れる場所が必要と、横浜で訪問診療、秋葉原では夜間診療を担う。

 幼少期は横浜市南区で過ごした。「黄金町とか伊勢佐木町が遊び場。銭湯にもよく通った」。常識にとらわれない性格は、遊び場にいる「多様性に富む大人」との触れ合いで身に付いた。中学で川崎市宮前区に引っ越し、高校は埼玉県の私立の進学校に入学した。

 この頃、血の混ざった便が出て、難病の潰瘍性大腸炎と診断された。欠席が増え、友達付き合いが途絶えて不登校にもなった。高校をぎりぎりの成績で卒業し、療養生活に入った。

 十九歳の時、動脈にまで潰瘍が達した大腸を全摘。一年ほど人工肛門で生活し、「漏れたらどうしようと不安で銭湯に行くのもためらった」。失意の中、人工肛門を閉じて自然排便に近づける、当時は最新の手術があると知り、横浜市立市民病院で治療を受けた。

 自身を助けてくれた外科医に憧れ、医師を志した。二浪して入った高知大医学部を経て医師になり、三十一歳で同市民病院に赴任。

 大腸がんの女性患者を手術するとあちこちに転移し、手の施しようがなかった。「早く発見していれば…」

 検査の重要性を訴えても、医療界が発信する文章は小難しくて届きにくい。一方でネットには不正確な情報が流れる。そんな状況を変えたいと、誰もが知っている言葉「うんこ」に着目。医療関係者にも真剣な姿勢をアピールするため「学会」を設立し、アプリ開発に着手した。

 「ゲームなら健康に興味がない人にも関心を持ってもらえる。色や形といった大便の状態を入力するとキャラクターを増やす『ガチャ』が引けるため、観察がゲーム進行の重要な要素になる。『観便』の考え方を普及させていきたい」 (志村彰太)

<うんコレ> 400人いる日本うんこ学会員のうち、IT技術にたけた50人が無報酬で開発している。万単位の腸内細菌の中から、最初は50種類をキャラクターとして盛り込む。悪性侵生物の強さは4段階あり、早期に倒すのが攻略のポイント。病気の疑いがある便が続くと、医療機関への受診を促される。詳細は学会のホームページに掲載している。

 

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