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【神奈川】

<良い本を読もう 藤嶋昭>葉っぱのフレディ −いのちの旅 レオ・バスカーリア著 みらいなな訳(童話屋)

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◆生とは、死とは 問い掛ける

 私は朝早く多摩川沿いを散歩し、六時半からは近くの公園で近所の方々とラジオ体操をして、一日が始まります。この行き帰りに、草花の変化や美しさに毎日感動しています。特に一枚一枚の葉っぱは、太陽光を受けて根から吸った水を分解し、酸素を出してくれています。

 この本は、一枚の葉っぱフレディ君が春に生まれ、冬に散ってしまうまでの物語。哲学者が書いたものだけに、生とは何か、死とは何かを考えさせられる絵本です。

 百歳を超えても医師として活躍した日野原重明先生が、ミュージカルにしたことでも知られています。

 夏は涼を取る人たちのために木かげをつくり、秋には美しく色づいた葉っぱたち。やがて冬の風に乗って、みんな枝を離れていきます。「さようなら フレディ」と言って、親友だったダニエル君も。

 最後まで残ったフレディ君は初雪の後、空中をしばらく舞って地面にそっと降りていきました。また春が巡ってきて、枯れ葉のフレディ君は土に溶け込み、木を育てる力になっていくのです。

 生と死という現実、命は尊くつながっていることを、この絵本から教えてもらうことができます。短い物語ですが、読むごとに感動する貴重な本です。

<ふじしま・あきら> 1942年3月生まれ。77歳。川崎市中原区在住。東京大学大学院在学中の67年、酸化チタンに光を当てると、水を酸素と水素に分解する「光触媒反応」を発見。汚れ防止や抗菌、空気浄化などに応用されている。2017年文化勲章、18年川崎市名誉市民章。現在は東京理科大栄誉教授。

 

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