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【神奈川】

「賢治は先を見通す力あった」 詩人のビナードさんと研究家の青木さん対談

賢治について熱く語り合った青木さん(左)とビナードさん=茅ケ崎市で

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 宮沢賢治(一八九六〜一九三三年)の作品を通して今を考える会が茅ケ崎市で開かれた。米国出身の詩人で「雨ニモマケズ」の英訳本を手掛けたアーサー・ビナードさん(51)は「賢治は先を見通す力があった」と評価。賢治を長く研究している元市教育委員長の青木照明さん(91)が「雨ニモマケズ」を朗読し、来場者約三百人が聴き入った。

 ビナードさんは「雨ニモマケズ」の冒頭部分が、ギリシャの歴史家ヘロドトスが残した一節に似ていると紹介。「ヘロドトスの言葉に出合っているのではないか。賢治は日本の枠に収まらずに言葉を造り出していた。それが見えてくると、本当の面白さが分かってくる」と説いた。

 続いて賢治の「注文の多い料理店」で登場人物が次々と扉を開けて進む様と、インターネット操作の相似性を指摘。「人間がどんなからくりで、どんな心理ではまっていくかをネットがない時代に見抜いていた。昔より今読む方が断然面白いと思う」と解説した。

 青木さんは賢治が他界する五年前に生まれ、小学校六年で「雨ニモマケズ」を教えられた。「人生の道しるべ。魂の中に生き続けている」と表現。絵本の翻訳家でミュージシャンの大友剛さん(42)の巧みなキーボード演奏などもあり、会場は盛り上がった。

 市民有志による実行委員会の人見知子さん(45)は「賢治は人間が持つ本質を表現している。時代にのみ込まれず、どう生きていくかのヒントを皆さんに理解していただけたのでは」と話した。 (吉岡潤)

 

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