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【神奈川】

<記者だより>デクノボー

 梅雨入りして間もなく、茅ケ崎市で宮沢賢治の作品を読み解く会があった。

 「雨ニモマケズ」に「デクノボー」という表現が出てくる。本来なら「役立たず」といった意味だが、元小学校校長で市教育委員長も務め、賢治を長く研究してきた青木照明さんは、恩師から「ここでは仏様の意味だと教えられた」と語った。小学校六年の時だ。

 それを受けて、米国出身の詩人で、この詩の英訳本を出しているアーサー・ビナードさんは「不器用で世渡りが下手だけど、実は次元が高い人ということでしょうか」と応じた。賢治の思いはどうだったのか。

 「雨ニモマケズはちっとも古くなっていない」と評するビナードさんは、他の作品にも触れて「賢治の本質を見抜く洞察力」を明快に解説してくれた。九十一歳の青木さんが朗読するのに合わせて、「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」と思わず声をそろえている自分に気づいた。

 賢治の言葉には今をどう生きるかを問う力が宿っている。改めて知る機会を得て感謝した。(吉岡潤)

 

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