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【神奈川】

<かながわ未来人>地元の昔話題材に物語創作 紙芝居ボランティア・ゆやまくみこさん(51)

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 ボランティア団体「金沢紙芝居の会『かなみん』」(横浜市金沢区)の一員として、地元に伝わる昔話などを題材にした創作紙芝居を子ども向けイベントや高齢者施設で披露している。

 素朴でぬくもりのある切り絵と、さまざまな声を使い分ける情感あふれる語り口が持ち味。「子どもからお年寄りまで、夢中になって見てくれるのが紙芝居の魅力」と熱く語る。

 紙芝居との出合いは幼少時にさかのぼる。せりふを朗読するレコード付き紙芝居が大好きだった。「おやゆび姫」や「赤ずきん」などを買ってもらい、擦り切れるほど聞いた。

 役を演じる楽しさを知り小中学校で演劇部に入り、高校二年の時には女優を夢見て東京都内の劇団のオーディションを受けて入団した。舞台で芝居ができるのは何よりうれしかったが、大きな役が回ってこない苦しさに耐えられず四年で退団。芝居とは無縁の生活を送るようになった。

 転機は二〇〇五年秋。実家で「おぼろ月夜」を歌っていると「おまえ、いい声だなあ」と、劇団入りに大反対だった父に初めて褒められた。父はその半月後、息を引き取った。最後の言葉を「『好きなことをやりなさい』と言いたかったと思う」と受け止め、芝居への再挑戦を決めた。

 復帰作は横浜市であった市民ミュージカル。主人公の母親役で出演した。満足いく出来栄えではなかったものの、「生の舞台の緊張感が好きだったんだ」と、封印していた気持ちに向き合えた。

 当時は子育て真っただ中。綿密な稽古が必要な舞台への復帰は厳しい。試行錯誤の末、たどり着いたのが一人で演じられる紙芝居。独学で覚え約十年活動し、一五年の「かなみん」結成時にメンバーに加わった。

 昨年は、幕末のペリー来航時の騒動を描いた「龍華寺のつり鐘のいぼ」を作った。今年は、手にした人の願いをかなえる地蔵を巡る村人たちの物語「まわり地蔵」を制作中だ。

 子どもの頃に夢見た舞台とは違っても、さまざまな経験を経て巡り合った紙芝居を「天職」と感じる。「私の作品を見て、笑ってくれる人や泣いてくれる人がいる。人の心の痛みを思いやり、分け合う大切さを伝える物語を届けていきたい」 (加藤益丈)

<金沢紙芝居の会「かなみん」> 横浜市金沢区が主催した市民講座「紙芝居deデビュー」の卒業生有志が2015年10月に結成した。現在のメンバーは50〜70代の男女13人。区制70年の昨年、地元の昔話を題材に7作品を作った。口コミで知名度が上昇し、昨年度は30回超上演した。問い合わせは同会の小泉陽子さん=電090(7011)7219=へ。

 

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