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【神奈川】

病気…「それが私」と前向きに 自己免疫疾患患者のアートコンテスト

「受賞は励みになる」と話す森さん=横浜市南区で

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◆横浜の森あけみさん審査員賞

 自己免疫疾患への理解を深めてもらおうと患者が寄せた作品を集めたアートコンテストで、全身性エリテマトーデスを患う森あけみさん(68)=横浜市南区=の日本画が、最優秀賞、優秀賞に次ぐ審査員賞を受賞した。長年にわたり闘病生活を続けている森さんは「励みになる」と喜んでいる。 (福浦未乃理)

 主催は製薬会社「アッヴィ合同会社」(東京都港区)。全国から寄せられた絵画や彫刻、陶芸など八十一点を美術家や医師、患者会会長らが審査し、十人に賞を贈った。

 森さんの作品のタイトルは「なお 生きる」。七十三センチ四方のキャンバスに赤いハイビスカスと黒いチョウを一年かけて描いた。「赤と黒の組み合わせが好き。描き始めたのが夏で、季節に合わせてハイビスカスを選んだ」。審査員は「鮮やかなハイビスカスは、『なお生きていく』という作者の強いメッセージを感じる」などと評価した。

 森さんは高校三年の時に両頬の発疹と高熱が続き、大学受験を断念。症状はいったん治まり、二年後に大学に進学して美術史を学んだ。二十六歳の時に今度は手の皮がむけて痛み、全身にけんたい感も出て入院すると、全身性エリテマトーデスと診断された。

 退院したものの体のだるさは続き、階段の上り下りにも苦労するほどで就職は諦めた。今でこそある程度病名が知られるようになったが、見た目で分からないことから当時は病気と理解してもらえないこともあったという。

 その後、投薬治療を続けながら症状は一進一退を繰り返し、三十五歳の時、ほとんど何もできない生活が続く中で趣味を持ちたいと思い立ち、日本画を習い始めた。「絵を描いている時はあっという間に時間が過ぎた。だんだんと生きがいになっていった」と振り返る。

 絵のタイトルは、自宅で介護していた母親が二〇一四年、老衰のため九十一歳で亡くなった時のことを思い返してつけた。親を看取るという大きな役目を終えた後も、人生は続く。

 「『どうして私が病気に』と思うと不幸な気持ちになるけど、『それが私』と思えば日々楽しく、前向きに生きていける」と森さん。同じ病気と闘う人に「私の話が少しでも楽しく生きるヒントになれば」とエールを送った。

<全身性エリテマトーデス> 免疫機能の異常で、臓器などに炎症が起きる膠原病(こうげんびょう)の一種。全身のけんたい感や発熱、皮膚の発疹、関節の炎症といった症状が出る。難病医学研究財団難病情報センターによると、全国に6万〜10万人の患者がいるとされ、男女比は1対9。

森さんの受賞作(アッヴィ合同会社提供)

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