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【神奈川】

<良い本を読もう 藤嶋昭>ロウソクの科学 ファラデー著 三石巌訳(角川文庫)

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◆なぜ燃えるか 実験で証明

 ロウソクと言えば、誕生日を祝うケーキに飾られているものですが、電気がなかった昔は、もちろん照明として使われていました。

 そのロウソク一本をともして、科学の面白さを六回にわたって講演したのが、英国のマイケル・ファラデー先生です。一八六〇年十二月のことですから、日本はまだ江戸時代。百五十九年も前になります。

 ファラデーはロンドンの貧しい家に生まれました。学校にほとんど行けず、製本屋で働きながら、仕事の合間に自分で製本したものを読んで勉強していました。王立研究所の公開講座を聞くチャンスがあり、二十一歳の時に花形研究者だったハンフリー・デービー先生の実験助手になることができたのです。

 その後、熱心に研究に取り組んで数々の成果を発表しました。たとえば、今や電気は当たり前に使われていますが、電気を作る基本的な研究である電磁誘導の原理を一八三一年に発見しています。

 ファラデーが七十歳の定年を控えて、ロウソクを使って連続講演した当時の記録がこの本です。「ロウソクは何からできているか」に始まり、燃えると周囲に空気の流れが起こる様子を説明、そして燃えてできる生成物が水と二酸化炭素であることも実験で証明しています。

 一見単純そうに見える現象も、科学のいろいろなことが関与しているんだと理解できて、ファラデーの説明に思わず引きこまれます。中学生や高校生、そして先生方にもぜひ読んでほしい本です。

<ふじしま・あきら> 1942年3月生まれ。77歳。川崎市中原区在住。東京大学大学院在学中の67年、酸化チタンに光を当てると、水を酸素と水素に分解する「光触媒反応」を発見。汚れ防止や抗菌、空気浄化などに応用されている。2017年文化勲章、18年川崎市名誉市民章。現在は東京理科大栄誉教授。

 

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