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【神奈川】

<かながわ未来人>手軽さ 奥深さに魅了、店開く 消しゴムはんこ作家・牧野美和さん(37)

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 消しゴムはんこに出合って三年足らず。手軽さと奥深さに魅了されて、勤めていた会社を辞め、川崎市中原区の東急東横線新丸子駅前で七月、自身の作品などを売る店「エピリリ」を開いた。同じデザインでも一つ一つ手で彫るから、出来上がりが少しずつ違う。「好きが高じて店まで開けてしまった。手作りの楽しさを広める拠点にしたい」と意気込んでいる。

 きっかけは手帳メーカー社員だった二〇一六年秋、文房具関連のイベントで消しゴムはんこづくりを体験したことだった。手先は器用で、小学生の図工の授業では凝った木版画をつくったこともあった。ペン型ナイフと消しゴムさえあれば始められる手軽さにのめり込み、会社勤めを続けながら作家活動を始めた。

 続ける中で、彫りの細かさや余白の使い方などデザイン面だけでなく、彫った跡の処理の美しさなど「やればやるほど奥が深い」と感じている。昨年は彫るだけで一カ月をかけて、はんこづくり専用の消しゴムで縦横五十センチの大作も手掛けた。一度彫って刷った後、彫り進めて別の色を刷る多色刷りに挑み、コンテストで賞を受けた。

 独立への転機は二人の男児を育てる中で起きた。一緒に見ていたテレビ番組に登場したウルトラマンオーブが、表情が変わらないのに感情豊かに見えた。「気が付いたら消しゴムはんこに彫っていた」。シンプルなデザインも消しゴムはんこに向いていた。それまで特撮番組に興味はなかったが、シリーズに登場する怪獣も含めて彫り続け、商品化を思い立った。版権を持つ円谷プロの許可も得られ、本格的に取り組もうと退職した。

 イベントでの即売やインターネット通販を約二年続けるうちに、自分の店を持ちたくなった。今年五月、閉店直前に訪れた雑貨店の雰囲気が気に入った。「考えるより先に行動してしまうタイプ」。初めて会った店主に、内装を残して譲ってほしいと頼み込み、開店が決まった。

 店に並べるのは、自身が彫ったウルトラマンやシリーズ作品に登場する怪獣の消しゴムはんこ、それらを特殊なインクで押した手ぬぐいやポーチなどのオリジナル商品。他の消しゴムはんこ作家の作品や、手作りアクセサリーなども委託販売する。「手作りの楽しさや消しゴムはんこの奥深さを伝えたい。大型の作品づくりにも挑戦したい」。屈託ない笑顔で、今後の展望を語った。 (大平樹)

<エピリリ> 店名の由来はエピック(叙事詩)とリリック(叙情詩)。住所は、川崎市中原区丸子通1の640。新丸子駅徒歩約4分。開店時間は午前10時〜午後5時半。日曜祝日は休み。名入れはんこも請け負うほか、毎月第1火曜と一部の土曜には、有料で消しゴムはんこ講座も開いている。問い合わせは、エピリリ=電044(948)5451=へ。

 

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