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【神奈川】

横浜市 カジノ誘致正式表明 市民の意見いつ反映? 林市長、住民投票せず

IR誘致について記者会見する林文子市長=横浜市役所で

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 横浜市の林文子市長がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致方針を正式に表明した二十二日、地元経済界からは歓迎の声が上がった。一方で、治安悪化などの懸念から市民の反発も根強い。今後、関連議案の審査を担う市議会の対応が注目される。(曽田晋太郎、志村彰太、丸山耀平)

 「人口減少、少子高齢化が進展する中、持続可能な横浜経済を構築するためには、国内外から多くの観光客を集めるIRの誘致が有効な方策と考えている」。横浜商工会議所の上野孝会頭は二十二日、IR誘致の方針を表明した林市長の決断を歓迎するコメントを発表した。

 地元企業でいち早く誘致に前向きな姿勢を示し、社内に専門部署を立ち上げた京急電鉄も「横浜の将来を考えた英断に敬意を表したい。当社は五年前からIRの調査、研究を続けているが、さらに内容を精査した上で今後のスタンスを決定したい」(広報部)とのコメントを出した。

 一方、林市長の決断は民意を置き去りにした向きもある。林市長は二年前の市長選の公約に「市民の意見を踏まえた上で方向性を決定する」と明記。だが、意見の集約はしていない。同日の記者会見では、誘致の賛否を問う住民投票を実施しない考えを示した。記者から「判断材料として、市民の意見をどの程度聞いたのか」と尋ねられると「会合や普段の生活で、いろんな人の意見を聞いている」と述べたが、参考にした意見の数などは明らかにしなかった。

 さらに、「住民投票をしないなら、市長選で信を問うべきでは」との問いには「四期目ということですか? 全く考えていない。なぜ市長選の話になるのか分からない」と気色ばんだ。民意を今後どのように反映するのか、最後まで明らかにされることはなかった。

 IRを巡っては、大阪府・市が連携して誘致する方針を示している。横浜市との連携について、黒岩祐治知事は報道陣の取材に「治安悪化やギャンブル依存に対する不安があることは理解しており、市民、県民が納得できるIRの実現を期待したい」とした上で、「県としてはまず、市の考えをしっかり聞いた上で何ができるか判断したい」と述べるにとどめた。

◆自公ジレンマ抱える 鍵を握る市議会

 横浜市がIRを誘致するには、市議会(定数八六)の議決が不可欠になる。主要会派では「立憲・国民フォーラム」(議席数二〇)と、共産(同九)は反対している。「自民・無所属の会」(同三六)と公明(同一六)は今の時点では明確な立場を示していない。

 「IRを研究し、議会でしっかり議論する」(自民の古川直季団長)、「本当に横浜が良くなるのか見極めたい」(公明の竹内康洋団長)、「方針転換に困惑している。断固反対」(立憲・国民の今野典人団長)、「民主主義を踏みにじっている」(共産の荒木由美子団長)。二十二日、各会派の団長は取材に見解を表明した。

 自公が立場を明確にしない背景には、支持者の賛否が分かれているのが一因とみられる。支援団体に反対が多い公明の市議は「報道で誘致の意向が明らかになった十九日以降、支持者から『カジノ以外に優先すべきことがある』と言われた」と明かす。反対や自主投票に回れば否決の可能性もあるが、国会審議で「カジノ解禁法」に賛成した自民との連携や選挙協力にひびを入れたくないというジレンマを抱える。

 自民にも心中穏やかでない市議はいる。中堅市議は「外資に港を明け渡す可能性のあるIRに、保守的な議員は良い印象を持っていない」と説明。有権者から「拙速だ」「住民投票すべきだ」などの意見が届いているという。別の市議は「丁寧に議論しないと二年後の市長選、四年後の市議選で大敗する」と危機感を強めた。

 

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