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【神奈川】

「本当にこれでいいのか」 カジノ誘致補正予算案 横浜市議会が可決

「横浜にカジノはいらない」と訴え、市庁舎を包囲する市民ら=横浜市中区で

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 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致に向けた調査費を盛り込んだ横浜市の補正予算案は二十日、市議会本会議で賛成多数で可決された。傍聴席は誘致に反対する多くの市民であふれ、林文子市長のリコール(解職請求)を目指す動きも明らかに。市がカジノ誘致に歩み始めた一日の動きを追った。 (杉戸祐子、福浦未乃理、村松権主麿)

補正予算案の採決で賛成の起立をする議員ら=横浜市議会議場で

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 ■午前11時

 市民団体「横浜へのカジノ誘致に反対する寿町介護福祉医療関係者と市民の会」が、誘致表明への抗議声明と八千三百三筆の署名を提出後、記者会見。ギャンブル依存症や治安対策などにかかる費用を含めた分析を示すよう市に求めてきたが回答がないとして「市民を無視している」と批判した。

 メンバーの山口泰彦さん(73)は「カジノが造られてからでは遅い。カジノを造らないことが最高の対策」と訴えた。林市長のリコールを目指し、署名集めに携わる受任者の募集を進めていることを明かした。

 ■午後0時15分

 市庁舎前では、複数の市民団体が横断幕やプラカードを掲げて抗議し、集まった数百人が市庁舎を包囲した。

 保土ケ谷区の介護職長崎崇子さん(71)は「依存症の人が増えるのではないか。経済波及効果というが、他にも活性化する方法がある。一獲千金を狙うのは賛成できない」。西区のアルバイト山口ゆらさん(25)は「市長の説明が足りない。子どもがいるので治安が悪くならないか心配。横浜には昔から住んでいるが、山下ふ頭はきれいな場所なので守りたい」と話した。

 ■午後2時

 市議会本会議が開会。

 議案についての討論で、自民党・無所属の会と公明党の各代表が賛成の立場から、立憲・国民フォーラムと共産党の各代表と無所属の五人の議員が反対の立場から意見を述べた。

 傍聴席には百人以上の市民が詰め掛けた。時折「絶対反対」「まじめに考えて」などと声が飛び、横山正人議長が「静粛に」と呼び掛ける場面もあった。それでも、無所属の太田正孝議員と井上桜議員が林市長のリコールの必要性に言及すると「よし」「そうだ」などの声があがった。

 ■午後3時57分

 議案の採決が始まる。横山議長が「賛成の方は起立をお願いします」と述べると、議員定数の過半数を占める自民党・無所属の会と公明党の議員が立ち上がり、賛成多数で可決された。

 林市長は表情を変えなかった。その後も他の議案の議決が淡々と続いた。傍聴席から「本当にこれでいいのか」と戸惑うような声が上がった。

 ■午後5時

 十八の市民団体でつくる「カジノ誘致反対横浜連絡会」の菅野隆雄事務局長(69)=港北区=は、市庁舎前で誘致反対の署名集めを終え「林市長には『市民をだますな。今からでも撤回しろ』と言いたい」と憤った。議案に賛成した二会派には「四月の市議選で、市民に誘致の賛否を問わずに当選した。議員の資格がないと言っても過言でない」と批判。今後、誘致の是非を問う住民投票の実施を目指す考えを示した。

 ネット中継で議決の瞬間を見ていたという市民グループ「横浜にカジノってどうなの?」の小林章子代表(46)=栄区=は「誘致を止めるには、林市長のリコールしかない。林市長には『待っててね』と言いたい」と話した。

◆市議会主要会派の討論

◇自民党・無所属の会 賛成 

 市長の考えるIRのイメージが市民に伝わっていない。横浜の目指すIRは何も決まっていない。今回の補正予算を経て市が実施方針を作り、事業者が応募し、議会が最終チェックする。区域整備計画が素晴らしいものになるのか、陳腐なものになるのかが重要だ。

◇立憲・国民フォーラム 反対 

 市民の意思を問うことなく拙速。増収効果の大半はカジノが財源で、カジノに依存することになる。依存症や治安対策の費用が検討されず、ゴールありきの印象は否めない。横浜には生かされていない観光資源がある。カジノを含まない開発の効果も示すべきだ。

◇公明党 賛成 

 治安・依存症対策など市民の不安解消に取り組み、観光、地域経済の振興、増収の使途などを慎重に検討・議論し、市民の理解が深まるようなプロセスがなければIRは実現しえない。市長、市議はさまざまな声を受け止め、持続可能な市政を進める責任がある。

◇共産党 反対 

 IRが正しく伝わっていないと言うが、IRは街に出かける必要がなく、地域経済の活性化にはつながらないのを市民がわかっているからこそ、反対意見が強い。生産年齢人口の流出を防ぐため、小児医療費無償化や学校給食など自治体としてやるべきことがある。

 

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