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【神奈川】

<記者だより>平和とは

 戦時中、南足柄市にあった外国人抑留所の生活を記した英国人男性の「シディンハム・デュアの日記」の記事を八月に書いた後、デュアさんの遺族に後日談を聞いた。戦後、抑留所の元責任者が横浜市内の自宅に来て、和やかに食事をしたことがあったという。

 入所者を苦しめた相手との意外な交流を知り驚いたが、デュアさんは「悪いのは戦争で個々人が悪いわけではない」と考えていたそうだ。長男仁さん(66)は「海外に伝えたい」と日記全文を本にする夢を持つ。世界で読み継がれてほしい。

 抑留所に外国人は五十人以上いて、衰弱や病気で五人が命を落とした。このうち身寄りがなく近くに埋葬された二人の墓碑が今春、有志の寄付で建立された。入所者に食料を届けて留置された農家の話を紙芝居にした開成町の久保田和男さん(82)らが、来日した元入所者の遺族を案内した際、自然石を置いただけの墓を申し訳なく思ったためだ。

 平和は彼方(かなた)に掲げる標語ではなく、人に寄り添う心に芽生え、育つものと信じる。 (西岡聖雄)

 

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