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【神奈川】

台風19号被害から1週間 1階浸水の中原・宮内地区の介護施設

復旧支援のため駆けつけたボランティアら。建物前に並ぶ送迎車両18台は「全損」と判定された

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 台風19号の影響で、七百件超の浸水被害があった川崎市中原区。宮内地区にある介護老人福祉施設「みやうち」(宮内一)でも、一階部分が一・五メートルくらい浸水し、利用者ら百二十人余が一時孤立状態になった。まだデイサービスの再開は見通せない中、一日も早い復旧を後押ししようと、地域住民らが駆けつけている。 (石川修巳)

◆「最大2メートル」の想定

 水がじわりと施設内に入り始めたのは十二日午後四時すぎだった。満潮時刻を迎える少し前。くるぶしくらいだった浸水は膝元に、間もなく腰の高さにまで達した。

 当時、施設内にいたのは入所者のほか、デイサービスなどの短期利用者も含めて百二十人余。最高齢は百八歳。五段階の要介護度のうち、重度・最重度の要介護四〜五が七割を占めるという。

 「もっと上の階へ」。浸水が始まる前、二階にいたお年寄りをベッドのままエレベーターに乗せ、三〜四階に避難させた。念頭にあったのは、多摩川の氾濫を想定したハザードマップだった。

 「最大で二メートルの浸水が想定されていた。けれども、こんどの台風は、想定外というくらいに猛烈だと聞いていましたから」と施設長の陸川(りくかわ)公男さん(66)。さまざまなデータの入ったサーバーも、あらかじめ三階に移していたという。

 十二日午後七時すぎ、施設内の電気が消えた。周りは明かりがついており、「停電はうちだけ」。水道もトイレもエレベーターも使えず、電話も不通に。翌十三日未明に水が引くまで、孤立した状態になった。

障害のある人たちが働く作業所などがあった施設1階部分

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◆送迎車両も「全損」

 実は、二年くらい前に水害を想定した独自のマニュアルを作っていた。職員の間で水害時にどう対応するかを確認し、本年度に訓練も予定していたという。「ぶっつけ本番になってしまった。利用者の送迎車両も移動しておく手順だったが、手が回らなくて…」と陸川さん。

 一階にはデイサービスや施設中枢の総合事務室のほか、障害者がビーズ製品などを手掛ける作業所も併設されていたが、浸水で利用できなくなった。十八台あった送迎車両も、保険会社に「全損」と判定されたという。「何よりも、体調を崩すお年寄りがいなくて良かった」

 地域住民らも復旧を後押ししている。泥のかき出しは終了し、今は荷物の運び出し、小物の消毒などに追われる職員たちは「十七日には、およそ六十組も駆けつけてくれた」と感謝する。

 台風一過の十三日には、高校男子バレーボール部の生徒たちが施設前を通りかかり、作業の手伝いを申し出たという。

 陸川さんは「さまざまな方々にボランティアに来ていただき、本当にありがたい。再開時期はまだ見通せないけども、サービスを利用しながら生活している家庭もあるので、一日も早く復旧させたい」と話している。

浸水被害のため床をはがした施設1階の総合事務室。カレンダーのかかった白い壁に、浸水の痕跡がうっすら残っている=いずれも中原区の介護老人福祉施設みやうちで

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