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【神奈川】

<かながわ未来人>交流30年 こつこつ活動 相模原拠点にカンボジア支援 NPO代表・永瀬一哉(ながせ・かずや)さん(63)

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 カンボジア抜きに自分の人生は語れない−。相模原市を拠点にカンボジア支援に取り組むNPO法人の代表を務める。本業は県立高校で日本史を教える教諭。授業の教材研究の一環で出会ったインドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)難民との交流をきっかけに、約三十年にわたり活動を続けている。

 始まりは一九八九年。県立相模原高に勤めていたこの年、現代史の教材を探して新聞を読んでいたところ、インドシナ難民の集住団地が高校近くにあるのを知った。「ベトナム戦争を説明するのに、難民の話を聞けばよりリアルな授業ができるのでは」。すぐに団地の管理人に連絡を取った。

 団地を訪ねて管理人から快諾を得たところ、「難民に日本語を教えてほしい」と逆に依頼を受けた。難民の中には自国の字の読み書きができない人もいて「手を差し伸べてあげないと」との思いに駆られた。同年九月、NPOの起源となるボランティアグループを立ち上げ、週一、二回、団地の難民に日本語の指導を始めた。

 転機は九二年。十年以上続いた内戦終結を受け、国家再建を担う国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)に日本が参加し、現地のニュースが連日のように世間を駆け巡った。内戦から命懸けで逃れてきた難民と交流を続けてきた経験から「共生を考える機会をつくりたい」と、カンボジアの歴史や難民の実情を伝える講座を企画した。毎年二、三回は現地に足を運ぶようにもなった。

 そこで知ったのが「日本とは貧困の度合いが違う地方都市の厳しい現実」。難民らのつながりでカンボジアの支援を求められる機会も増えた。寄付を募るなどして奨学金の支給や井戸の設置、体内に残る地雷の破片や銃弾の摘出などをしてきた。町を挙げて感謝され、それがうれしくてやりがいにつながっている。

 日本語指導で知り合った難民たちとは今でも家族のような交流が続き、NPOのメンバーになった人もいる。昨秋には長年の活動が評価され、カンボジア王国の情報省アドバイザーに任命された。「カンボジア支援は人生の支え。生きがいを与えてくれたことに感謝し、これからも手助けし続けたい」。今年は老朽化した小学校を再建するのが目標だ。 (曽田晋太郎)

<インドシナ難民の明日を考える会(CICR)> 難民支援団体として1990年4月に設立。現在のメンバーは、県内の小学校教諭やカンボジア難民ら25人。カンボジア支援の寄付は随時、受け付けている。問い合わせは=電080(5686)8460=へ。

 

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