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【神奈川】

カジノ誘致問題 溝深まる 横浜市と反対派

カジノ誘致反対横浜連絡会による市民集会=横浜市中区で

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 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の横浜市への誘致に反対する市民らが、誘致を決めた林文子市長のリコール(解職請求)や、誘致の是非を問う住民投票を目指した活動を広げている。市は12月から、全18区で市民説明会を開いて理解を得たいとしているが、反対派との溝は深い。 (杉戸祐子)

 「カジノを止めましょう」「市長をリコールしよう」。十月最後の週末、JR東神奈川駅前で市民ら約十人が、チラシを配って呼び掛けた。九月に発足した政治団体「一人から始めるリコール運動」の街頭活動。来年夏に市長リコールの署名集めを行う予定で、今は運動を担う「受任者」のなり手を募っている。十月末で三千人を超えており、年内に一万人、来年夏までに五万人を集めたいという。

 人口三百七十五万人の巨大都市・横浜でリコールを実現するには有権者四十九万人分の署名が必要。容易な数ではないが、広越由美子代表(39)は「多くの市民が反対しているのに林市長は誘致を決めた。市民を無視している以上、リコールしかない」と力を込める。政党とは連携せず、草の根運動に徹する。

 受任者になると決めた保土ケ谷区の無職綾部祥一郎さん(79)も「市はカジノの収入見通しに目がくらんでいるが、カジノは成長産業ではない。決して誘致してはいけない」と、街頭で力説していた。

 リコールではなく、住民投票を目指す動きも進む。二〇一四年から活動してきた市民団体「カジノ誘致反対横浜連絡会」は、十月上旬に開いた集会で千人を集めた。立憲民主党や共産党の国会議員や市議らも姿を見せた。共同代表の岡田尚弁護士は「まずは住民投票を実現し、勢いをつけよう」と呼び掛けた。

 住民投票のための署名は六万人と、リコールよりは少ない。しかし、IR誘致のための調査研究費を盛り込む補正予算案に賛成した自民党と公明党の会派が過半数を占める市議会の議決が必要になる。岡田弁護士は「市民の多くはリコールによる市長選までは求めていないが、リコールが成立するほどの署名を集めれば、市長や市議会与党議員への圧力になる」と強調し、可能性を探る。受任者の目標は一万人で、現在は二千人超。近く結成される予定の住民投票を目指す複数の団体による共同組織とも、連携を図っていく。

 これに対し、林市長は市民説明会に出席し、自らの声でIRの意義を説明する考えだ。誘致に賛成する横浜商工会議所も、複数の経済団体と新たな組織を立ち上げ、後押しする。

 直接請求制度に詳しい東海大政治経済学部の岡本三彦教授(行政学)は「カジノのように賛否の分かれるテーマで、市長が説明不足のまま方向性を表明すれば、住民が何らかの動きを起こすのは自然かつ健全」と、反対する市民の動きに理解を示す。

 住民投票を目指す活動については「市民が意見表明を模索することは意義がある。市民の関心や機運の高まりによっては署名集めは可能ではないか」と話す。リコールを目指す運動には「ハードルは高いが、実現すれば住民にとってそれほどまでに大きな問題であることの現れだ」と述べた。

<リコール(解職請求)と住民投票条例制定の請求> どちらも住民による直接請求の方法。リコールは有権者が首長や議会などの解職・解散を求める制度で、原則として有権者の3分の1以上の署名が必要。横浜市など人口の多い自治体は、必要な署名数の割合を引き下げる規定が適用される。住民投票条例制定は有権者の50分の1の署名を集めた上で、議会の議決が必要。いずれも請求代表者が申し込んだ後、受任者が2カ月間で署名を集める。 

リコールを目指し、署名の受任者を募る「一人から始めるリコール運動」の広越代表(左奥)=同市神奈川区で

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