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【神奈川】

<良い本を読もう 藤嶋昭>かもめのジョナサン リチャード・バック著 五木寛之訳(新潮社)

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◆人間の生き方と対比させる

 米空軍パイロット、地方巡業の曲芸飛行家などの経験をもとに、作者のリチャード・バックが一九七〇年代に発表した小説。米国で自由を求めたヒッピーを中心に広く読まれ、世界的なベストセラーにも。それから四十年余を経て、最終章が加えられました。

 漁船のまき餌をついばもうと押し寄せるカモメの群れ。ジョナサンは一羽だけ離れて空高く飛び、急降下する訓練を繰り返して飛行技術を磨き、自分の可能性を追求します。

 「わたしらが飛ぶのは、食うためだ」と父親に苦言を呈されても、工夫を重ねて限界突破に挑むジョナサン。飛行速度は時速三百四十二キロにも達しました。そうして「学ぶ、発見する、自由になる」という生きる目的を見いだした喜びもつかの間、群れから追放されてしまいます。

 やがて雲の上に導かれて長老カモメに出会い、瞬間移動の術を学びます。その秘訣(ひけつ)とは、「おれは無限の可能性を持ったカモメなんだ」と自身の存在を認知することでした。

 ジョナサンは再び地上へ。かつての自分と同じように、飛び方を学びたいという若いカモメたちを指導するためです。しかし、ジョナサンが姿を消すと「神聖な鳥」として神格化され、教えも形骸化してしまうストーリーです。

 じっくりと読み直してみました。人生とは何か。何を目標にするのがベストなのか。われわれ人間の生き方と対比して考えさせられる一冊です。

◆感想文を募集 

 本欄は毎月一回程度、掲載します。紹介した本を読んだ感想文(四百字程度)をお寄せください。郵送やファクス、電子メールに書名と住所、氏名、電話番号を明記し、川崎支局(送付先は本ページ題字下)へ。

<ふじしま・あきら> 1942年3月生まれ。77歳。川崎市中原区在住。東京大学大学院在学中の67年、酸化チタンに光を当てると、水を酸素と水素に分解する「光触媒反応」を発見。汚れ防止や抗菌、空気浄化などに応用されている。2017年文化勲章、18年川崎市名誉市民章。現在は東京理科大栄誉教授。

 

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