東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

台風19号1カ月 「先見えない」募る不安 相模原・避難生活送る70代女性

庭が崩れ落ちた女性の自宅=相模原市緑区小渕で(女性提供)

写真

 台風19号の上陸から十二日で一カ月を迎えた。土砂崩れが相次いだ相模原市緑区では今も避難生活を送る人がいる。このうち同区小渕の無職女性(72)が十一日夜、本紙の取材に応じた。台風により生活は一変し、元の暮らしに戻る見通しはたたない。「将来を考えると先が見えず悲しくなる」と、不安を募らせている。 (丸山耀平)

 「ドーン、パチャッ」。台風が近づきつつあった十月十二日午後五時ごろ、自宅にいた女性は大きな音に驚いた。外を見ると、住宅から八十センチほどしか離れてないところで、庭が崩れ落ちているのが見えた。命の危険を感じ、かばんを持って家を飛び出した。すぐに靴下を片足しか履いていないことに気付いたが、必死に近くの公民館へと逃げた。

 現在暮らす「藤野農村環境改善センター」に避難したのは、その三日後。食事などの提供を受けながら、会議室で近隣住民と二人部屋で過ごしている。「食べて寝られる場所があるのは良いが、時間が止まっている感じ。外出した先でのんびりしている人を見かけると、悲しくなってくる」と複雑な心の内を打ち明ける。

 六十五歳の定年退職後、フラメンコや習字など多くのサークル活動を始めた。しかし、「心配されると思うと、つらいし、みんなの迷惑になるかもしれないからいけなくなった」と、避難後は一度も参加していない。

 代わりに畑での野菜栽培を今月から再開した。インゲンやサトイモなどを一人で熱心に育てていると「生きている感じがして、一番幸せな時間」と、沈む気持ちを奮い立たせようとしている。

 ただ、時が過ぎるほど、不安は大きくなるばかり。自宅は一部損壊の認定を受けたが、崩れた庭は目の前にある。できれば何十年も過ごしたこの地域に住み続けたいと願いつつ、「いつか自宅も崩れるのでは」という不安が頭から離れない。

 「自宅は傾いていて住める状態ではない。解体するのに何百万円もかかるかもしれない。年金生活では払えないし、家を捨てて、逃げることもできない。どうすればいいのか」

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報