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【神奈川】

「きなりっこ」地球思い30年 廃食油原料のリサイクルせっけん

廃食油をリサイクルした石けん製品の数々。清水真理子理事長は「この先も、循環の仕組みを大切にしていく」と語る=いずれも川崎市川崎区で

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 小学校の給食室や家庭から回収された廃食油を原料に、リサイクルせっけんを製造販売するNPO法人「川崎市民石(せっ)けんプラント」(川崎市川崎区)が今月、前身の会社設立から数えて三十周年を迎えた。「きなりっこ」のブランド名で、学校給食の現場で食器洗いなどに活用されている。リサイクルの輪を支えてきたのは「地球を思う、小さな一歩」という共感だった。 (石川修巳)

 一九七〇年代の多摩川は、川沿いにたまった合成洗剤の泡が風に吹かれて舞っていたという。

 二年前から理事長を務める清水真理子さん(57)は「『私たちは被害者だけれども、加害者でもあるんじゃないか』と気がついたんです。合成洗剤の追放運動を経て、自分たちで安全なせっけんを作る動きが始まりました」と説明する。

 川崎区扇町の市有地を借りて、市民の手によるせっけん工場が誕生したのは一九八九年十一月。労働組合や生活クラブ、六千人の市民らの出資で株式会社を設立し、翌九〇年に本格稼働した。

 商品名も公募し、生成色をした製品の特徴や愛らしさを込めて「きなりっこ」と名付けられたという。二〇〇五年にNPO法人となり、工場も川崎区塩浜に移転した。「今もせっけん作りができるのは、みんなの熱意のたまもの。この先も、その熱を受け継いでいきたい」と清水さん。

 現在は川崎区と幸区、中原区の小学校三十九校から、給食に使われた年五万〜六万リットルの廃食油を購入。ほかに家庭から回収された廃食油も原料に、主力の粉せっけんは一年間に五十四トン製造する。一連の工程に障害者を含めて約二十人が従事しているという。

 こうして完成した「きなりっこ」は、市立小九十校の給食室へ。液体せっけんや純せっけんなどもラインアップしており、食器洗いとともに、洗濯や掃除にも使えるという。

 廃食油からせっけんに形を変え、資源を循環させる仕組みを支えて三十年。「今も使い続けてもらえるのは、みなさんの理解があるからこそ。『たかがせっけん』かもしれませんが、大事なのは何か、せっけんから見えてくるものがあるはず」と清水さん。今後は廃食油を資源として活用する幅を広げたいという。

 今月三十日は、午前十時半〜正午に工場見学や粉せっけんの量り売り、汚れ落としの実演などを行う。問い合わせは、川崎市民石けんプラント=電044(276)0739=へ。

リサイクル粉せっけん「きなりっこ」を袋詰めする職員ら

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