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【神奈川】

<かながわ未来人>支え合う地域づくりへ活動 社会福祉士・服部誠(はっとり・まこと)さん (43)

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 時にギターを抱えて認知症の人や障害のある人と共に歌い、散策やイベントを一緒に楽しむ。小学生が防災を学ぶ場をつくり、東日本大震災被災地の復興支援を続ける中高生や大学生をサポートする。小学校区の避難所運営や子ども食堂にも携わる。

 勤務先の逗子市社会福祉協議会で、在宅支援コーディネーターとして働く傍ら、市内や自宅のある横浜市金沢区で十以上の活動に奔走する。「一人一人の困り事を地域で支える仕組みは、たくさんつくって混ざり合った方がいい。そう考えてやってきたら、いっぱいになっちゃった」と苦笑する。

 福祉に目を向けたのは苦い体験からだった。大学受験の浪人時代、横浜駅近くで友人を待っていた。ふと視線を感じた先に、電動車いすの男性。ちらちらこちらを見る様子に不審を抱いた直後、駅員らが駆け付けて四人で車いすを抱え、そばの階段を下りた。

 手を貸してほしいという男性の意図に気付かなかった自身に「何て冷たい人間なんだとショックを受けた」。ふらふらと入った書店で「社会福祉原論」という本が目に飛び込んだ。むさぼるように読んだ。

 大学入学後は、ボランティアサークルに打ち込んだ。横浜市内の地域ケアプラザで、障害のある子どもたちやデイサービスの高齢者、彼らを支える職員らと接するうち「生涯をかけてやっていきたい」と決めた。

 仕事の傍ら、地域でさまざまな活動を立ち上げたのは三十代から。転機は二〇〇七年の新潟県中越沖地震だった。災害ボランティアセンターのスタッフとして初めて被災地に入り、普段から人と人とがつながっている地域の強さを目の当たりにした。

 「一人一人が楽しく輝ける場が普通にあればいい。平時に支え合っていれば、緊急時も助け合える。そういう地域をつくりたいんです」。目指すのは、障害や病気のある人も認知症の人も子どもも大人も共にある「誰もが混ざり合う当たり前の風景」。一緒に活動する視覚障害のある男性の言葉だ。

 積み重ねの手応えを感じることもある。十月に逗子市内の認知症の男性が行方不明になった際は、会員制交流サイト(SNS)の発信で、市内外の仲間三十人がすぐに駆け付けた。

 「温かい地域になってきていると思うけど、困り事を抱えている人はたくさんいる。『誰もが混ざり合う当たり前の風景』がすべてのモチベーションであり、公私ともに社会福祉士でありたいと思っています」 (北爪三記)

<社会福祉士> 1987年に定められた国家資格。福祉に関する相談に応じ、助言や支援、関係機関との連携・調整などをする専門職。「公益社団法人日本社会福祉士会」(東京都新宿区)によると、会員は4万3587人(8月末現在)。

 

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