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【神奈川】

少女のタイプ記録から秘密戦の実態に迫る 明大で登戸研究所の企画展

「雑書綴」の複製が常時閲覧できる同館の第三展示室=いずれも明治大生田キャンパスで

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 川崎市多摩区の明治大学平和教育登戸研究所資料館で企画展「少女が残した登戸研究所の記録」が開催されている。総合的な秘密戦研究所の活動を示す資料は敗戦後すべて抹消されたと思われていた三十年前、一人の女性が、研究所の数百枚もの書類を持っていると名乗り出た。企画展はこの書類から、あらためて研究所の秘密に迫っている。 (安田栄治)

 女性は十五歳の時に、研究所で毒物兵器などを開発する第二科にタイピストとして採用された関コトさん(故人)。少しでも早くタイプ技術を上達させたいコトさんは、自分でタイプしたさまざまな文書の副本をつづり、「雑書綴(ざっしょつづり)」と名付けて見本にしていた。一九四一年から四四年に作成された約千枚の庶務的なもので極秘印が押されたものは含まれない。敗戦後にすべての書類や記録の処分が命令されたなかで、仕事の思い出と願い出たところ持ち出しが許可されたという。

 コトさんは「雑書綴」の存在を明かしていなかったが、戦後四十年が過ぎて研究所の調査が進み、当時の責任者らが活動内容を明らかにしたことなどから、八九年に公開に踏み切った。

 「雑書綴」には秘密戦兵器開発、化学兵器研究の環境整備に関する書類、研究所が最終決戦兵器とした風船爆弾に第二科が研究協力を示唆する文書などがつづられている。企画展では「雑書綴」に沿ってまとめた解説パネルなどを展示している。

関コトさん(左)(企画展「少女が残した登戸研究所の記録」のパンフレットにある遺族所有の写真から)

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 企画展の担当者は「十代の少女が残した書類を読み解くと第二科が陸軍の謀略戦の中心だったことが分かります。『雑書綴』がなかったら研究所の実態は謎でした。その貴重な資料に焦点をあて、細かい内容を紹介する企画展は初めてです」と話している。

 企画展では二十五日までと来年一月十一日、二月二十九日から三月二十八日まで、コトさんの遺族が所蔵している「雑書綴」の実物を展示。第三展示室では複製が常時閲覧できる。

 また、資料館の渡辺賢二展示専門委員による企画展記念講演会(予約不要、入場無料)を十二月七日午後一時から同大で開催。同大文学部教授で資料館館長の山田朗さんの企画展解説会(事前予約制、定員二十人)も二十一日、一月十一日、二、三月の最終土曜日に行われる。

 企画展は来年三月二十八日まで開催。入場無料。開館時間は午前十時〜午後四時。休館日は日曜〜火曜日、年末年始ほか。解説会などの参加方法、問い合わせは同館=電044(934)7993=へ。

期間限定で展示されている遺族所蔵の「雑書綴」の実物

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