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【神奈川】

在日コリアンら 安堵の声 川崎市、ヘイトスピーチ罰則付き差別禁止条例成立

差別禁止条例の成立を受け、在日コリアンらが記者会見する会場に大勢の報道陣らが詰め掛けた=川崎市役所で

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 「私たちは、守られました」−。ヘイトスピーチを罰則付きで規制する全国初の差別禁止条例が十二日、川崎市で成立したのを受け、在日コリアンの市民らが市役所で記者会見。差別的な言動に脅かされてきた苦しみとともに、条例による抑止効果への期待を語った。主な発言は次の通り。 (石川修巳)

<崔江以子(チェカンイジャ)さん(46)> 二〇一五年十一月八日、私たちの町をあのヘイトデモが襲いました。「どうして『差別をやめて』と伝えても、デモは来るの?」。子どもたちにそう問われて、説明がつかなかった。

 「ルールがないから」と伝えたら、「ルールがないなら、大人がしっかりルールを作って、守って」と…。四年かかってやっと、子どもたちとの約束を守ることができました。

 「私たちを守る」と市が宣言してくれた。本当にうれしい。差別のない社会に向けて、新しい歩みが今日から始まると思います。

<ペェ重度(チュンド)さん(76)> ハルモニ(おばあさん)たちが「もう、戦争はやだよ」と小さな声を上げました。当時、国会で安保法制が議論されていました。その声をつぶそうとする集団がデモを仕掛けてきたのが、事の始まりでした。

 条例ができたからといって、差別意識や排外意識が瞬時に一掃されるとは思っていません。でも、差別はいけないことなんだ、犯罪になるんだという意識が定着していけば、是正されていくだろうという期待感を持っています。

<石日分(ソクイルブン)さん(88)> さんざん、悲しい思い、苦しい思いをして生きてきた私たちが、いくらか穏やかに暮らしていた時にヘイトスピーチが行われました。けれども、差別されるいわれは何もないし、皆さんに溶け込んで仲良く暮らしているんです。

 きょう、ヘイトスピーチを罰則で禁じると議決されて、私たちは守られました。本当にうれしい。

<趙良葉(チョウヤンヨプ)さん(82)> 差別を禁止する条例ができて、われわれの運動も無駄ではなかったのかと。一歩一歩でも重ねていって、よかったねえと。運動に賛同してくれた皆さんにも、ありがたいねえと思っています。

 −ヘイトスピーチを禁じるルールができ、子どもたちにどう伝えますか。

<崔さん> (子どもたちに直接伝えるまで)とっておきたいんですけど…。ごめんなさい。

◆山崎市議会議長「議会も役割果たす」

 川崎市議会の山崎直史議長は「差別があってはならないという市民の思いが結実したものだ。不当な差別のないまちづくりを大きく前進させるため、議会としても、その役割を果たしていきたい」とするコメントを発表した。

◆川崎市の差別禁止条例の要旨

 一、何人も人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害その他を理由に不当な差別的取り扱いをしてはならない

 一、居住地域から退去させることを扇動したり、人以外のものにたとえて著しく侮辱したりするなど、公共の場所で本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行ってはならない

 一、不当な差別的言動を行った者に対し、六カ月間、再び違反行為をしないよう勧告できる

 一、勧告に従わなかった者に対し、六カ月間、再び違反行為をしないよう命令できる

 一、命令に従わなかったときは、氏名や団体名、住所などを公表できる

 一、勧告や命令、公表の前に、委員五人以内で組織する審査会の意見を聴かねばならない。委員は学識経験者のうちから市長が委嘱する

 一、命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する

 一、不当な差別的言動の禁止や勧告、命令、公表、罰則などの規定は二〇二〇年七月一日に施行する

 

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