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【神奈川】

<農の暮らしinかわさき>市内産ワイン解禁へ 農家5件 醸造の意向

特区認定を見据えて、年内にもワインの自家醸造を目指す山田貢さん=麻生区で

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 「かわさきそだちワイン特区」と銘打ち、川崎市内の農家が自家栽培した果実を使って、ワインなどの果実酒を自ら醸造できるようになる。市が国に対し、酒税法に基づく製造免許の基準を緩和する構造改革特区を申請。三月下旬にも特区認定される見通しで、年内にも市内産ワインの醸造が始まる。

 酒類の製造免許には、年六千リットル(七百五十ミリリットル入り八千本分)を製造しないといけない最低基準がある。市が申請した特区は、この基準の適用を除外。少量でも、農家が自家栽培した果実でワインをつくり、自ら営むレストランなどで提供できるようになる。

 市によると、麻生と宮前、多摩の三区で、五件の農家が醸造を始める意向を示している。原料にはブドウだけでなく、イチゴやカキ、ブルーベリーなども検討しているという。

 市内の農地は五百三十八ヘクタール(二〇一九年度)。一九九〇年度の千五十八ヘクタールからほぼ半減した。都市化や相続を契機に年々減少する中で、農産物の付加価値を高めるとともに、後継者の育成が課題だ。市は「市内産ワインは新たな魅力として、農業振興や観光に波及効果がある」とみている。

 この特区が認定されれば県内初。全国では昨年十月時点で埼玉県入間市、千葉県木更津市など百九十カ所で認定されている。

 今回の特区申請は、ピノ・ノワールやシャルドネなど、六種類のワイン用ブドウを麻生区岡上(おかがみ)で自家栽培している農業生産法人カルナエストからの相談がきっかけだった。

 同社は一七年に初めてブドウを収穫し、醸造は東京都練馬区のワイナリーに委託してきた。代表の山田貢さん(37)は「ブドウ栽培から醸造まで、川崎でワイン造りができるんだと知らせたい。若い世代に都市農業の可能性を示したいし、夢を持ってもらいたくて」と語る。

 年内に小規模な醸造施設を整備し、今年収穫するブドウを使って、フレッシュな「ヌーボー」を提供したいという。市民がワイン造りを体験できる場づくりも検討している。

 ただ、今回の特区では農家が自ら営む施設での提供に限られ、自家醸造したワインのボトル詰め販売は認められていない。その実現には、別の特区申請とともに最低でも年二千リットルの製造が必要で、ハードルがより高くなる。

 山田さんは「今回は第一歩。ほかの農家とも連携して、次のステップを目指したい」と話している。 (石川修巳)

麻生区で自家栽培したブドウだけを使ったカルナエストのワイン。現在は東京のワイナリーに醸造を委託している

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