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【神奈川】

<かながわ未来人>NPO経営を支援する法律家 司法書士・山崎梨紗(やまさき・りさ)さん(34)

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 「大事なメンバーが『辞める』って…。活動を続けられなくなってしまう」

 二年前、保育施設を運営するNPO法人の代表から、電子メールで「SOS」が届いた。「本当は外部に相談したくないけども」という代表の告白が、切迫した事態を物語っていた。

 特別な配慮が必要な病弱児の子育ては、保育の受け入れ先が少なく孤立しがちだ。この団体は、そうした家庭を支える活動を実践していたが、方向性を巡って齟齬(そご)が生じ、役職員らの辞職に発展したという。

 活動を通じて、どんな社会にしたいかを話し合った。「立て直しの鍵はビジョンでした。それがスタッフや支援者の心を動かす。経営そのものです」

 川崎・武蔵小杉で司法書士事務所を始めたのは二〇一七年。個人や法人の起業に携わる業務とともに、NPOの経営支援にも取り組んでいる。助成金の活用や寄付集めなど、活動資金の安定化を中心に約八十件の相談を受けてきた。

 NPOは、企業や行政サービスの隙間を埋める重要な役割を担いつつも、「メンバーの熱い思いが頼り」というケースが多い。財政難とともに、人材や活動場所の確保といった難題が立ちはだかるという。

 「つまり事業が発展すればするほど、メンバーの負担が重くなってしまう。法律の知識を力にして、役に立ちたい」と語る。

 実は大学卒業後、IT企業にシステムエンジニアとして入社。しかし、パワハラや過労のため一年で退職した。「社会に出てみたら、何もできなかった。挫折感を味わう中、生きがいや居場所を得たのがNPO活動でした」

 在留外国人の子どもの学習支援や、聴覚障害者のための字幕制作などに加わった。誰かのための時間は、社会とのつながりを実感する原体験になったという。NPOの経営支援は、その恩返しでもある。

 寄付を呼び掛けるチラシ作成なども、一緒になって知恵を絞る。活動への共感が広がり、寄付額が三倍になった団体も。「ビジョンが大事、とうるさく言っています」と笑う。

 もちろん、自分にもビジョンがある。「誰かのために、みんなが少しずつ『社会起業家』の顔を持つ社会にしたい」 (石川修巳)

<NPOの経営支援> ビジョンなどのメッセージや発信力強化、組織づくりなどに関して助言する。神奈川県や東京都を中心に活動しており、遠方の場合はインターネット通話ソフトを活用。詳しくは、ヤマサキ司法書士事務所のウェブサイト(http://yamasaki-work.com)へ。

 

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