東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

やまゆり園 指定管理者、見えぬ着地点  知事「変更」で県と県議会

県当局(右側)を批判する県議会厚生常任委。知事が自身で決めた方針のため、当局は答弁に詰まる場面が多い=県庁で

写真

 県の知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の指定管理者を再公募する方針を示した黒岩祐治知事に、県議会が「決定過程が不透明」などと批判を強めている。県は七日、十二日開会の県議会定例会に提出する七十七議案を発表し、再公募のための条例改正案は盛り込まなかったが、知事は追加提出の可能性は否定せず、着地点は見えない。 (志村彰太)

 「入所者、家族、園職員に事前説明なく、急に方針を表明するのは一方的すぎる。入所者が不安に陥り、虐待に等しい」

 昨年十二月に黒岩知事が突然、再公募の方針を表明してから、県議会は五回にわたり、厚生常任委員会の閉会中審査を開き、知事を指弾する言葉が相次いだ。委員が当局に方針変更の理由を問うても「不適切な支援があった」と繰り返す場面もあり、議員の間で不信感が高まっている。

 同園を巡っては二〇一六年七月の殺傷事件を受けて建て替え工事が進められ、二一年度に現地と横浜市港南区の仮移転先近くに後継施設が完成する。県は「入所者との絆は強い」として、現在の指定管理者の「かながわ共同会」に二四年度まで両施設の運営を続けさせる考えだった。

 しかし、黒岩知事は共同会の入所者支援に不適切な点があったとして、見直し方針を表明。「不適切な支援」の詳細について、県が設置した第三者委が明らかにしているが「現在は改善されている」と認める。条例で定めた指定管理期間を短縮するほどの理由かの県の説明も、十分ではない。

 期間短縮には共同会の合意が必要だと両者の基本協定で定めているが、共同会は「納得できない」と反発し、協議すら始まっていない。それでも県は「二一年度の開設に間に合うよう再公募したい」と譲らず、港南区の施設は「新施設」に当たり「共同会の合意がなくても公募できる」との見解まで示し、揺さぶりをかける。

 知事の見直し表明は、通常は知事が発言しない定例会終盤の本会議で、「異例中の異例」(自民県議)のこと。一月の常任委では牧島功委員(自民)が、他県の元知事や元記者の実名を挙げて「知事は二人に操られているのではないか。政策決定過程がゆがめられている」と指摘。裏では「別の法人をもうけさせたいのではないか」といった陰謀論もささやかれている。

 知事はこの指摘をきっぱりと否定し、再公募は「そもそも自民党が求めたことだ」と反論する。確かに、指定管理者の見直しは、昨年十一月の定例会で自民が求めている。ただし、県議会は「不透明な決定プロセス」「表明のタイミング」の二点を問題視しており、議論がかみ合っていない。

 県議会主要会派は、議論が成熟するまで指定管理期間の短縮や再公募の議案を提出させない方針。常任委は独自に園の全利用者と家族に、知事の方針変更の受け止めや望ましい運営法人などを聞くアンケートをしている。結果次第では知事への批判をさらに強める構え。十七日から代表質問が始まり、知事がどのような答弁をするか注目される。

居住棟が解体された「津久井やまゆり園」=相模原市緑区で、本社ヘリ「おおづる」から

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報