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【暮らし】

<縁のカタチ 外国人と生きる>多文化介護(下) 互いに思いやってこそ

メモとともに、買ってほしい商品の包装を出して、ヘルパーの林田さん(右)に説明する福永さん=愛知県豊田市の保見団地で

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 ゆでたまごとハムのミニサラダのラベルが貼られた容器にクッキーの外箱、プリンのふた−。

 一見、分別後のごみにも見える品々。だが、愛知県豊田市の保見団地で暮らす福永恒子さん(83)には欠かせない。「これ、大事にしまおう」。重ねて戸棚に入れようとする福永さんを、訪問介護などの事業所「ケアセンターほみ」の日系ブラジル人ヘルパー林田洋子さん(59)が手助けした。

 福永さんは三年前に左足の古傷が炎症を起こして動かなくなり、要介護4。階段の上り下りができず、四階にある自宅の外には出られない。夫(84)は昨年十一から入院しており、林田さんらヘルパーが毎日、福永さんの一人暮らしを支える。

 買い物もその一つ。福永さんはヘルパーに買ってきてほしい製品とメーカー名、個数をメモした紙を渡す。ただ、外国人ヘルパーには手書きの日本語を読み込み、同じ商品を探し出すのは難しい。

 以前、福永さんが「ラーメン」と書いたら、日系人ヘルパーが五食入りの即席麺を買ってきた。「家族もいないし、食べきれないから、カップ麺を頼んだつもりだった」

 以来、食べたカップ麺のふたなどは、洗って取っておき、メモと一緒に林田さんに見せる。「そこまで気が回らないなら、こちらが気を付ければいい」

 林田さんは、福永さんのメモを見て、不明な点を確認しつつ、ポルトガル語で「小さい袋」などと書き添える。詰め替え用洗剤の袋などは、スマートフォンのカメラで撮影してから買い物に行く。「字も分かりやすいし、漢字があっても、見本があるから助かる」。互いに気を付けるため、買い物の失敗はなくなった。

 自由に出歩けず、料理もままならない福永さんにとって、一人に適した量、好みの製品を買ってきてもらうことが生活のしやすさに直結する。「プリンもたくさんメーカーがあり、メモに『プリン』とだけ書いても分からない」。買い物から帰宅した林田さんがクリームが載ったプリンを、福永さんが取り出しやすい位置を考え、冷蔵庫にしまう。福永さんは「私の体がこんなふうだから、先々を考えてものをしまってくれ、助かる」と目を細める。

 林田さんは「(ヘルパーは)話ができて楽しいし、人ができないことを手伝うことが好き。自分の心がうれしくなる」と話す。

 福永さんは三年前、ケアセンターほみから外国人ヘルパーが来ることもあると説明を受けた時「どうなるのか」と不安だった。でも、ヘルパーたちとやりとりを重ね「言葉は通じるし、私が書いたメモを渡せば分かる。失敗もあるが、こちらも工夫すれば、速くクリアできる」。

 ケアセンターほみでは現在、日本人と外国人のヘルパー十一人が、高齢者や障害者の利用者計五十五人を担当。二〇一一年に県高齢者生協がほみを団地内につくった当時は治安などを不安視する声もあったが、特別なトラブルもなく、地域の介護の一翼を担う。

 ケアセンターほみを運営する県高齢者生協の専務理事藤井克子さん(59)は言う。「目の前で困っている人を助けたいというのがほみの原点。人口が減少していく中、日本人も外国人も交じっていろんな人が支え合い、ケアしていかなければ」

 

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