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【暮らし】

<縁のカタチ 外国人と生きる>日本語支援「みらい」(下) 制服も無料で貸し出し

同級生たちと一緒に体育の授業でダンスを踊るブラジル国籍のラモス・ルアナさん(右端)=愛知県豊橋市で

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 「僕ときょうだい4人分のがくようひんをかうことは、りょうしんの大きなふたんになります。そのことが、とても心配でした」

 愛知県豊橋市の豊岡中学校で二月中旬にあった、外国人生徒向けの日本語教室「みらい」の修了式。同市の中学二年生レイテ・ジオゴ君(15)は八週間の授業で身に付けた日本語で、ブラジルから来日した直後の不安な気持ちを作文にしてつづり、読み上げた。

 ジオゴ君は昨年十一月、両親や九〜十八歳の兄弟四人と来日。両親は同市内の自動車の部品組立工場で働いており、当初は制服代など学校に通う費用が心配だったという。だが、両親と市役所に行った際に、みらいで集中的に日本語を学べることと、制服も無料で借りられることを知った。

 制服は、同市教育委員会が昨年四月にみらいを開設した際に、市内の各学校に呼び掛けてリサイクル品を四十着以上集めた。同市の中学校に通うには制服やかばん、ジャージーなど新品を一式そろえるためには数万円がかかり、経済的な負担の重さを訴える外国籍の親子が多いからだ。

 これまで、みらいで学んだ約四十人のほぼ全員が制服を借りた。市教委はその後も体操服やウインドブレーカーを各学校を通じて集め、貸し出している。

 ジオゴ君も借りた制服を着てみらいに通学。作文では、「『みらい』の先生たちは僕がこまっていることを知り、さまざまなほうほうで僕をサポートしてくれました。『みらい』から僕へのあいじょうと感じています」と感謝の気持ちも伝えた。式に出席した父セルソさん(55)はジオゴ君の肩を抱き「みんなが親切にしてくれたから、子どもは学校に行くことができた。本当に良かった」と話した。

 文部科学省によると、学校に通っていない不就学の外国籍の子は全国に約一万八千人いるとみられる。同省が二〇〇九年に、群馬県太田市、愛知県豊田市など外国人が多く住む二十九の自治体を通じ、外国人の保護者に行った不就学の実態調査では、子どもを学校に通わせていない理由は「学校へ行くためのお金がないから」が33・0%で、最多だった。

 二十年前から豊橋市で外国籍の子どもを指導し、みらいでも日本語を教える相談員の築樋博子さん(59)は「経済的な理由で学校に通えない子どもがいないよう、豊橋ではみんなで外国籍の親子を支えている。制服のリサイクルで、助け合う心も伝えられる」と話す。

 一月にみらいを修了したブラジル国籍の二年生ラモス・ルアナさん(15)は在籍する中部中の体育の授業で、日本人やブラジル人の同級生たちと笑顔で、肩を組んで踊った。

 日本で生まれ育ち、日本語が堪能なブラジル国籍の同級生イレイジョ・アリサさん(14)はルアナさんの通訳に。名前をひらがなとローマ字で書いて教えてくれたり、教室を移動する時に「一緒に行こう」と声をかけてくれたりする子もいる。ルアナさんは「みんなと同じことができて、うれしい」と喜ぶ。

 山本莉子さん(14)は授業中、教科書のどこを読んでいるか分からずに頭を抱えているルアナさんを見て、そっと指で教えたことがある。「(ルアナさんに)言葉はまだ通じなくても、たくさん話しかけていけば、分かり合えることは増えていくはず」

  (細川暁子)

 

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