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【暮らし】

性依存症は専門治療を 回復可能な病気「偏見なくしたい」

津島隆太さん

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 公に語られることの少ない性依存症がテーマの漫画「セックス依存症になりました。」が、集英社のインターネット上のコミックサイトで連載され、話題だ。性的な衝動をどうしても抑えることができず、繰り返し浮気をしたり風俗店に通ったりする行動は、治療が必要な病気であること、回復が可能なことを作者の実体験を基に紹介し、正しい理解を呼びかけている。 (編集委員・安藤明夫)

 作者の津島隆太さんは、首都圏在住の四十代の漫画家。昨年四月に同社のサイト「週プレNEWS」で始まった連載は、毎週金曜に更新され、現在四十四話まで無料公開されている。

 津島さんは、若い時から多くの女性と、次々に性的な関係を持ってきた。しかし、数年前、同居していた若い女性に以前の恋人との仲を疑われ、激しい暴力を受けたことをきっかけに、精神的に不安定になった。

 心療内科を受診すると、他人に比べて高い性的なものへの関心、すぐに性行為を求めてしまうなど女性との付き合い方のいびつさを指摘された。

 また、幼少期に父親から虐待を受けた経験が、相手をコントロールしたいという欲望につながっていることにも気付く。

漫画「セックス依存症になりました。」の冒頭は、診断のシーン((C)津島隆太/集英社)

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 診断の結果は「性依存症」。医師から「病気であることを自認することが治療への第一歩」と指導され、カウンセリングなどを経て、性依存症者の自助グループを紹介された。

 出会ったのは、痴漢や盗撮、下着窃盗などの経験者。売春をやめられない女性もいた。当初は「この人たちとは違う」と腰が引けたが、過去の体験を隠さずに話し、再び問題を起こさないよう支え合う姿に心が動いた。

 津島さんもとうとう、誰にも話せずにいた「性行為をすることで女性の心を支配したい」という衝動について打ち明けた。

 回復への道のりは長く「物語はまだまだ続きます」と津島さん。体験の作品化を思い立ったのは、性依存症への偏見をなくすため。「芸能人がお酒や薬物で問題を起こせば、依存症、つまり病気と認識されるようになったけれど、性の問題は個人の問題として人格を攻撃されるだけ。治療が必要で、回復もできることを多くの人に知ってほしい」と話す。単行本にまとめて出版するのが次の目標だ。

 漫画を監修した大森榎本クリニック(東京)の精神保健福祉部長斉藤章佳さんは「性依存症は、まだ知名度が低く、性欲の問題に矮小(わいしょう)化されて語られることが多い」と指摘。漫画にはさまざまな当事者が登場するが、「どの人もその行為によって社会的、身体的、経済的に損失を受けているのに、やめられない。それが依存症。作品を通して正しい理解が広がり、一人でも多くの人が専門治療を受けるようになることを願う」と話している。

 <性依存症>性交渉やポルノへの過度な執着、痴漢行為、強迫的な売買春、性的ないたずら電話などの行為に性的な興奮や刺激を覚え、自分でコントロールできなくなる状態を指す。アルコール、薬物などの「物質依存」に対し、ギャンブル、買い物依存などと同じ「行動依存」に分類される。精神医学の世界では、依存症に含めることに賛否両論があり、治療できる医療機関や自助グループはわずか。

 

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