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【暮らし】

<平成を語る 男性の育児>家族の大切さ再認識 NPO法人「ファザーリング・ジャパン」代表理事・安藤哲也さん

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 外で働く女性が増えた平成は、男性の育児参加や家事分担が加速した時代だ。共働き時代の父親の育児を支援するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」(FJ)代表理事の安藤哲也さん(56)は、自らも3児の父。「平成は、男性が『父親になる』のではなく、積極的に『父親をする』時代への転換期」と振り返る。 (聞き手・今川綾音)

 僕が父親になったのは、共働き世帯が、専業主婦のいる世帯を上回った一九九二年の五年後です。妻はフルタイム勤務だったので、書店の店長をしていた僕が保育園へ迎えに行き、妻が仕事から戻るまで娘をおぶってレジに立ちました。園の緊急連絡先も僕でした。

 当時、男性の育児環境は未整備。男性トイレにベビーベッドはなく、いつも便器のふたの上でおむつを替えていました。暴れた娘が床に落ちそうになったことも。

 転機は二〇〇六年六月、奈良県で起きた事件です。医師の父親からの行きすぎた学習指導、いわゆる教育虐待に耐えかねた高校生の少年が自宅に放火しました。父親の子どもへの関わり方を変えないと駄目だと感じました。翌日からすぐ、父親仲間に声をかけ、十一月にFJを発足させたんです。

 絵本の読み聞かせ活動をする中で、笑わない子の後ろには必ず、笑わないパパとママがいると気付きました。パパは仕事、ママはワンオペ育児で疲れきっています。男性の育児を促そうと、主催するセミナーなどでは「育児をする男はかっこいい」というポジティブなメッセージを発信し続けてきました。

 設立以降、男性の育児への関わり方を変える二つの出来事がありました。

 一つは、〇八年のリーマン・ショックです。不景気で残業が減り、男性が家庭と向き合う時間が増加。子どもとの関わり方やメリットを紹介するFJの父親向けセミナーの参加者は激増しました。

 もう一つは仕事や家など、大勢の人が当たり前の日常を失った一一年の東日本大震災です。多くの男性が「本当に大切なのは目の前の家族」と再認識したと思います。

 子どもが生まれ、外で稼いでいれば「父になる」時代は昭和まで。平成は、率先して育児や家事に関わり「父をする」時代になりました。今、男性の育児休業取得率は5%を超えた程度。でも、あと十五年もすれば、男性が育休を取るのは当たり前になると確信しています。

 父親が育児に関わると、母親は孤立から解放され、余裕が生まれる、そうすれば子どもの発達にも良い影響が出ます。さらには、夫婦関係の冷え込みや子どもへの虐待なども減るでしょう。その道筋が見えたらFJは解散です。解散できる日がゴールだと考えています。

<あんどう・てつや> 1962年、東京都生まれ。2男1女の父親。出版社、書店、IT企業など9回の転職を経て、2006年にファザーリング・ジャパンを設立。年間200回以上の講演や企業セミナーなどで全国を飛び回る。小学校のPTA会長、学童クラブや保育園の父母会長も務め、「父親であることを楽しもう」をモットーに地域でも活動する。

◆「イクメン」支援加速

子育てのこつを教える講座に参加する父親たち=平成26年、愛知県豊田市で

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 女性の社会進出が進む一方、平成二(一九九〇)年に発表された前年の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの推定人数)は一・五七と過去最低を記録。「少子化対策には男性の育児参加が不可欠」と政府は本格的に対応に乗り出した。

 厚生省(当時)は十一年、「育児をしない男を、父とは呼ばない。」という啓発ポスターを作製。長引く経済の低迷で男性の働き方が揺らいだこともあり、二十二年には育児や家事に積極的な男性を指す「イクメン」が流行語になった。

 この頃から、自治体の首長や企業のトップが先陣を切る形で育休を取得。男性全体の育休取得率も二十三年度に初めて2%を超え、二十九年度には過去最高の5・14%となった。半面、女性の取得率は同年度で83・2%と依然として高く、社会には「(家事育児は)女性が担うもの」との意識が根強い。そうした風潮を裏付けるように、平成の時代、政治家の口からは「(女性は)産む機械」「(乳児期の育児は)ママがいいに決まっている」など物議を醸す発言が何度も飛び出した。

 ただ、人口減少は企業にとっても死活問題。両立支援の取り組みを進める企業も多い。男性の育児を支援する流れは確実に加速している。

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