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【暮らし】

介護予防に買い物リハビリ 店内歩いて、体操や健康チェックも

「買い物リハビリ」で体操する参加者たち=愛知県長久手市で

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 送迎付きで高齢者がショッピングセンターで買い物し、体操や健康状態のチェックもする「買い物リハビリ」を、介護予防事業として取り入れる自治体が出てきている。家に閉じこもりがちになったり、健康管理をおろそかにしたりするのを防ぐとともに、買い物に出掛けにくい人の支援にもなる。参加している高齢者からも「毎週、来るのが楽しみ」と好評だ。 (細川暁子)

 椅子に座った高齢者らが片足ずつ膝を伸ばしたり、立ち上がってから前屈したり。愛知県長久手市のショッピングセンター「アピタ長久手店」では、毎週水曜日に「買い物リハビリテーション」が開かれている。常連という市内の鎌倉たまゑさん(85)は「体を動すと気持ちがいいし、他の人とおしゃべりすると、元気になる」とほほ笑んで、食品売り場に向かっていった。

 同市は昨年七月に、高齢者施設の運営会社に委託して買い物リハビリを開始。市内に住む六十五歳以上の高齢者が対象で、希望者は登録しておいて参加したい日を事前に市に連絡する。現在は七人が登録している。

 利用料は、買い物の代金は別で一回三百円。施設の職員らが自宅まで迎えに行き、店に着くと血圧や脈拍などを測った後、作業療法士らの指導で肩を回すなど、約三十分間体操する。その後、約一時間自由に買い回り、また自宅まで送ってもらう。

 登録している七人全員が女性で、平均年齢は八十三歳。うち五人が一人暮らしだ。鎌倉さんもその一人。昨年十月に夫が亡くなって、「当時は、家に一人でいると寂しくて、毎日泣いていた」と振り返る。だが、夫が利用していた介護施設の職員に勧められて、買い物リハビリに参加するようになった。「家にいると、こたつに入ってごろごろしてばかり。迎えに来て家から連れ出してくれるのは、本当にありがたい。毎週楽しみにしている」

 同市の山田直子さん(80)も、約十年前に夫を亡くしてから一人暮らし。この日が約三十回目の参加で、パンや牛乳などの食料品を買い込んだ。「週末には近くに住む息子夫婦が買い物に連れて行ってくれるけれど、平日は頼みづらい。体操までできて、すばらしいと思う」とほほ笑む。同市は、市内の別の店でも、隔週木曜日に昼食付き一回千円で開催している。

 福井市でも昨年十一月から、介護施設を運営する社会福祉法人「藤島会」が、ショッピングセンター「エルパ」で毎週木曜日に実施している。市が認定する介護予防・日常生活支援総合事業の一環で、一部地域の六十五歳以上で要支援1と2の人や、市が運動機能の衰えを認めた人が対象だ。

 介護保険を利用でき、一割負担の場合、利用料は一回約三百円。職員が利用者を自宅から店まで送迎し、作業療法士らが体操を指導している。

 日本転倒予防学会理事長で、東京大名誉教授の武藤芳照さん(68)は「介護予防策として、おもしろい取り組みだ。体操で体を動かす上に、何を買うか考えることは脳の刺激にもなる。店内を歩くことで筋力を維持できれば転倒予防にもなる。日常的に散歩に出掛けるなど、家に閉じこもりがちな高齢者が、外に出るきっかけになる」と話す。

 

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