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【暮らし】

ル・コルビュジエの家具 華美排したモダンの原型

ル・コルビュジエ、シャルロット・ペリアン、ピエール・ジャンヌレによってデザインされた家具。左から肘掛け椅子、回転式スツール、寝椅子、回転式アームチェア=いずれも東京都台東区上野公園の国立西洋美術館で (c)ADAGP, Paris&JASPAR, Tokyo, 2019 B0407 (c)FLC/ADAGP, Paris&JASPAR, Tokyo, 2019 B0407

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 東京・上野公園の国立西洋美術館で開催中の「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ−ピュリスムの時代」展(東京新聞など主催、5月19日まで)は、「近代建築の巨匠」が描いた絵や建築関連資料だけでなく、ル・コルビュジエが手掛けた家具も紹介している。現代生活にどう生かせるか、インテリア業界に長年携わってきた森口潔さんに、同展で聞いた。 (稲葉千寿)

 同展では肘掛け椅子、回転式スツール、寝椅子、回転式アームチェアの四点を展示。リビングデザインセンターOZONE(東京・西新宿)で北欧家具などを扱ってきた森口さんは開口一番「意外に小ぶり」。「休養のための機械」と呼ばれ、スチールパイプや革などの素材から、ル・コルビュジエの家具は大きい印象があるが、寝椅子で四二・七×一六二×五三・七センチ、スツールは五十センチ四方に収まる。

 華美な装飾家具への批判を込め一九二〇年代後半にデザインされた。森口さんはその斬新さを「金属と革を使えばどうしてもル・コルビュジエ風になるように、その後のモダン家具の原型となった究極デザイン」と表現した。当時の新技術を生かした機能性も特徴で、寝椅子は、台座に載った弓形フレームを体の姿勢に合わせて動かせる。

 森口さんは「日本の住居でも置けるサイズ。これほど虚飾を排した家具は和室にも合う」と言う。ただ、ライセンスを取得し製作・販売しているカッシーナ社のLCシリーズは一脚数十万円はする。中古市場ではビンテージ物としてより高価になるという。私生活に取り入れるには構えてしまう。「だからこそ公共施設で取り入れてほしい。本物に触れる体験が、いい家具を見分ける物差しになる」

 首都圏では、国立新美術館(東京・六本木)がヤコブセンなど北欧のデザイン家具を、埼玉県立近代美術館(さいたま市浦和区)も国内外の名作椅子コレクションから常時数十種類を、フリーゾーン(無料で入れる場所)に設置。実は西洋美術館にも、常設展示室出口付近にカッシーナ製の寝椅子とソファがある。隣接の資料閲覧スペースには回転式スツールも。

 最近は、意匠権の切れた有名デザイナーの家具を正規メーカー以外の企業が復刻生産した「ジェネリック家具」も出回る。ネット通販もあるが、購入前には、少なくとも実店舗があるかを確認し、実物で質や使い心地を確かめたい。

 まずはル・コルビュジエが設計した西洋美術館の展示室でオリジナルを鑑賞し、フリーゾーンで現代に生きる名作に身をゆだねてみては。

フリーゾーンに置かれたLCシリーズのソファ(手前)と寝椅子(奥)

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