東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

認知症、生活習慣も誘因 飲酒、喫煙、睡眠…日常にリスク潜む

 二〇二五年には、高齢者の五人に一人にあたる約七百三十万人が患うと推計されている認知症。だが、生活習慣を整えることで、避けられることもある。日常生活の中に潜む認知症を招く恐れとは、どんなことだろうか。この分野で治療研究をしている国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)を訪ねた。 (五十住和樹)

 認知症はアルツハイマー型が七割近くを占める。複数の新薬の治験が進行中だが、今のところ根治は困難とされる。

 しかし、同センター病院認知症センター長の塚本忠さん(59)は「認知症は予防する時代」と言う。塚本さんが、認知症を発症しやすくなる「危険因子」と指摘するのが表の項目だ。

 この他にも大量飲酒は脳を萎縮させる恐れがあり、コレステロールや中性脂肪が適正値をはみ出す中年期の「脂質異常症」はアルツハイマー型の危険因子でもある。「最近では、肥満や高血糖、高インスリン血症もアルツハイマー型認知症と関連しているとの報告がある」と言う。

 福岡県久山(ひさやま)町で一九六一年から続いている疫学研究によると、認知症の発症リスクを下げるには、大豆や緑黄色野菜、淡色野菜(タマネギやキャベツなど)、藻類、乳製品を積極的に食べるのが有効という。コーヒーやお茶などに含まれるカフェインについては意見が分かれているが、塚本さんは「摂取した方が認知機能低下の程度が弱くなる傾向がある」としている。

 同センターの神経研究所所長、和田圭司さん(64)は、(1)バランスのよい食事(2)摂取カロリーを守る(3)塩分を控える(4)間食、糖分を控える−が「脳の健康を守る」と解説。だが「中長期にわたって認知症との因果関係が証明された食品はない」と話している。

◆認知機能低下 別の病気かも

 認知機能の低下は、認知症の発症によってのみ起きるわけではない。睡眠薬や胃薬などによる場合があるほか、梅毒などの感染症や、ビタミンB12や葉酸の欠乏、脳の髄液がたまる正常圧水頭症も原因になり得る。「薬を減らしたら認知機能が回復した」というケースもあり、塚本さんは「『治せる認知症』は少なくない」と強調する。

 医療機関で認知症と診断されても、実は別の病気だったということもある。医療経済研究機構(東京)は、二〇一五年度に認知症の進行を抑える薬を新たに処方された六十五歳以上の約二十六万二千人を対象に調査を実施。認知機能の低下が症状として表れるが、病気自体が治れば認知機能は回復する甲状腺機能低下症の検査を、一年以内に受けていたのは三分の一にとどまった。認知症の専門治療機関でも、受けていたのは57%だった。

 同機構の主席研究員で医師の佐方信夫さん(41)は「数万人の規模で『治せる認知症』が、見逃されている可能性がある。こうした機能低下で治療機会を逃すと、脳の萎縮が進み、認知機能が戻らないこともある」と指摘する。

 認知症の治療で、日本では薬の服用が中心となっているが、フランスは昨年八月、「有用性が低い」と保険適用から外した。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報