東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

効果ない「機能性食品」も 薬剤師会の試験で判明

錠剤が体内で溶けて崩れるかを調べる試験=名古屋市熱田区で

写真

 健康の維持や増進が期待できるとされる、いわゆる健康食品。中でも、企業が論文など一定の科学的根拠をそろえて消費者庁に届け出るだけでいい「機能性表示食品」は1700種類に上る。手軽な分、口にする人も多いが、錠剤、カプセルなどが胃や腸で溶けず、成分が体内に吸収されない製品があることが、日本薬剤師会の試験で分かった。専門家らは「効果を過信しないで」と警鐘を鳴らす。 (花井康子)

 「腸の状態を整える」「記憶力を維持」「美肌に導く」…。そうした働きがあると表示して販売されている機能性表示食品。二〇一五年に制度化された。業者が一定の科学的根拠を示して届け出れば、効果をうたうことができる仕組みだ。有効性や安全性を国が個別に審査、表示を許可するかどうかを判断する「特定保健用食品(トクホ)」に比べ、基準が緩いのが特徴。四月十七日現在、千七百八十五種類の届け出が公表されている(届け出後に撤回された分を除く)。

 日本薬剤師会の検査委員会が三年ほど前から調べているのは、体内できちんと溶けて崩れるかどうか。薬局などで手に入りやすい製品から二十一の食品を無作為に抽出。医薬品の品質を調べるのと同じように、体温と同じくらいに温めた水や体液に似た成分の液体に浸し、体が動くのと同じように振動を繰り返した。その結果、五つの製品は規定の時間内に崩れなかった。

 体内で溶けて崩れなければ、そのまま排出されるだけで成分は吸収されない。お金を出して効果のない製品を買っていることに。一方、崩れなくても一部が溶け出せば、錠剤やカプセルのコーティング剤や酸化防止剤などの食品添加物だけを取り続けてしまう可能性もある。

 規定の時間内に体の中で崩壊するかどうかを調べる義務は、本来、機能性表示食品にはない。消費者庁によると「サプリメント状のものは、事業者が自主的に調べることが望ましい」という程度だ。医薬品と同じ方法、基準で崩壊性を調べたことについて、検査委は「食品とはいえ、形は医薬品と同じ。しかも健康増進機能をうたうからには医薬品に準ずる品質が求められるべきだ」と指摘。「一律の基準がないため、粗悪品が含まれていても分からない」と警告する。薬剤師会は一月、結果を消費者庁に報告。日本医師会などへも情報を公開する予定だ。

 成分など機能性表示食品に関する情報は、消費者庁のホームページで見ることができる。だが、消費者がそれを基に、効果の科学的根拠を判断するのは難しいとの声も。国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター病理部長の小川久美子さん(55)は「買う時は、製造元が信頼できる会社かどうかを見極めることが大事。でも、まずは食べ物から栄養を取ることを心掛けて」と助言する。

 機能性を表示できる健康食品には、機能性表示食品とトクホのほか、栄養機能食品がある。検査委のメンバーで日本薬剤師会常務理事の村松章伊(あきよし)さん(71)は「健康食品を薬と同じように考え、医師が出した薬をやめる人もいる。決して病気を治療するものではない」と注意を呼び掛ける。

◆機能性が表示できる健康食品

 <機能性表示食品>事業者の責任で科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。安全性や機能性の根拠に関する情報を消費者庁に届け出れば販売できる。

 <特定保健用食品(トクホ)>表示されている効果や安全性について国が審査し、食品ごとに消費者庁が許可を出す食品。4月15日現在、1068件。

 <栄養機能食品>科学的根拠が確認された栄養成分を一定量含み、国の定めた表現方法をすれば、届け出なしで機能性を表示できる。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報