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【暮らし】

脳卒中体験 講師で生かす リハビリ養成校などで活躍

理学療法士を目指す学生らの実習の相手となる森山礼子さん(手前)=名古屋市中村区の中部リハビリテーション専門学校で

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 脳卒中の後遺症で障害のある人や家族らでつくる名古屋市のNPO法人「ドリーム」の会員が、リハビリ専門職の養成学校などに講師として派遣され、活躍している。当事者が体験談を語ったり、リハビリ実習の相手を務めたりして、障害を社会貢献につなげている。 (山本真嗣)

 「脚を上げられますか」。四月下旬、名古屋市の中部リハビリテーション専門学校であった実技演習。理学療法士を目指す三年生十六人が、ドリームから派遣された半身まひの講師三人の体に触れながら、関節の可動域を確認しながら動かしたり、歩く動作を確認したりした。生活状況を尋ねることも。本部達也さん(20)=愛知県岩倉市=は「どれだけ力をかけていいのかなど、直接生の声が聞ける」と話す。

 講師の森山礼子さん(74)=名古屋市=は十三年前に脳出血を発症。右半身がまひし、直後は車いす生活だったが、理学療法士らに支えられたリハビリで歩けるようになり、自炊もできるまでに回復した。今度は自分が育てる側になり、「体験が生きればうれしい」。

 同校は二〇〇六年から体験談の講演をドリームに依頼。四年前から半身まひの障害者などを想定した実習にも取り入れた。現在は二年と三年の授業で年四こまずつをあてる。

 教務主任の村上忠洋さん(53)によると、病院での臨床研修もあるが、入通院中の患者は気持ちが不安定なこともあり、研修で聞けることも限られる。ドリームの講師は発症から長期間がたち病気も理解しており「患者の方々とどっぷり関わりながら指導でき、ありがたい」と話す。

 ドリームは一九九九年に「脳卒中障害者の生きがいづくり」を目指し発足。三十〜八十代の約百七十人で、小規模作業所運営や家族相談会などに取り組む。

 脳卒中の後遺症は半身まひなどの運動障害のほか、言葉が不自由な失語症、視野障害などさまざま。障害を苦に、こもりがちになる人も多い中「自分たちにしかできない役割を果たそう」と、〇七年に有料の講師派遣を始めた。

 義肢装具士の専門学校で半身まひの人が、学生が下肢装具を作るモデルとなり、言語聴覚士を養成する専門学校では失語症の人が話し相手に。大手住宅設備会社の障害者用トイレの開発に携わったこともある。

 小規模作業所の利用者も講師を務め、事務局長の伊藤圭太さん(35)は「講師の症状も多様で、さまざまな依頼に応じられる」。一回五千円で昨年度は八団体から二十七件の依頼があり、延べ七十三人が受け持った。

 ドリーム理事長で、脳出血の後遺症で右半身まひなどがある梅北健一さん(63)=同市=は「自らの障害が社会貢献となり、自信にもつながる」と話す。(問)ドリーム=電052(231)0350

◆夏も要注意 脱水で脳梗塞に

 25〜31日は日本脳卒中協会の脳卒中週間。冬に多い印象の脳卒中(脳出血と脳梗塞)だが、気温の上がる6月以降は脳梗塞が増えるといい、注意を呼びかける。

 同協会愛知県支部副支部長で、名古屋医療センターの奥田聡副院長(63)によると、冬は血圧が上がって血管が切れる脳出血が増える一方、夏は脱水症状のために血液がどろどろになり、動脈硬化による血栓が血管をふさぐ脳梗塞が多い。

 特に「朝が要注意」といい、起きたときにろれつが回らない、半身まひ、顔がゆがむなど普段と違う様子があれば、脳梗塞を疑い、すぐに救急車を呼ぶ必要がある。予防にはこまめな水分補給が有効で、夏場は食事以外に1日1リットル程度の摂取を勧める。

 

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