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【暮らし】

<縁のカタチ 外国人と生きる>防災学び 助ける側に 日系人ら救命訓練や啓発

赤十字奉仕団の指導で、AEDの使い方を学ぶ外国人防災ボランティアグループのメンバーら=愛知県西尾市で

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 全国で二番目に外国人の多い愛知県で、南海トラフ地震などの災害に備え、地域の外国人たちが自ら防災力を身に付けようという取り組みが広がっている。グループで定期的に訓練や勉強会を開いたり、啓発動画を発信したり。言葉や生活習慣の異なる外国人は災害時に支援される側になりがちだが、日本人住民の高齢化が進む地域などでは、助ける側としても期待されている。 (山本真嗣)

 「あたまのちかくにおく」「でんげんのスイッチ(すいっち)をおす」

 四月中旬に愛知県西尾市の県営緑町住宅であった、外国人住民が自動体外式除細動器(AED)の使い方と心肺蘇生法を学ぶ勉強会。地域住民らでつくる赤十字奉仕団の女性ボランティアが平仮名と片仮名で書いた説明文を示しながら実演した後、日系ブラジル人ら参加者がAEDを使って蘇生法を体験した。

 開いたのは、同住宅に住むペルー人やブラジル人ら三十〜五十代の外国人七人でつくる「外国人防災ボランティアグループ」。同住宅は住民の六割が外国人で、二〇一四年に結成した。二カ月に一度、地震や津波、避難所での共同生活、けがの手当てなどテーマを決めて学んでいる。

 団地の外国人が増え続ける中、〇七年に初の外国人の自治会長となったペルー人のエルナニ・セーサルさん(52)が呼び掛けた。セーサルさんは幼少時の一九七〇年、母国を襲ったマグニチュード(M)7・7のペルー地震を経験。「壁が壊れ、怖かった」と話す。地域の防災訓練に参加する中で「自分たちにもできることを」と思い立った。

 AEDは全員が扱えるように。自治会副会長で、通訳も務めるブラジル出身の横山一男さん(48)は「少しでも力になりたい」。横山さんらが恐れるのは災害時に日本人が外国人を怖がり「差別」が起きないかということ。「避難所にちゃんと受け入れてくれるのか、少し不安。助け合える存在と知ってほしい」と話す。

 自治会の防災訓練を勉強会に取り入れる一方、日本人も参加するように。同住宅では高齢化が進んでおり、元自治会長で県県営住宅自治会連絡協議会長の川部国弘さん(67)は「外国人も地域の大きな力。日ごろから顔の見える関係を築き、いざというときに助け合えるよう、共に学んでいきたい」と期待する。

 外国人コミュニティーへの啓発や情報発信に力を入れる動きも。愛知県内に住む外国人らでつくる「多文化防災ネットワーク愛知・名古屋」(TABOネット)は二〇一六年から、地震の怖さや非常時の対応法をポルトガル語で伝える動画を作成し、ホームページや会員制交流サイト(SNS)などで発信している。

 担当するアルゼンチン出身の菊地健二さん(31)と日系ブラジル人の菊地フェルナンダさん(24)=名古屋市=夫妻によると、ブラジルには大地震などが少なく、防災への意識が低い。これまでに非常食や段ボールを使ったトイレの作り方、地震の揺れを体験できる施設などを紹介。今後は災害時に使われる日本語を、外国人でも分かりやすい言葉で伝える「やさしい日本語」の紹介などに力を入れる。

 フェルナンダさんは「正しく情報を伝えることで外国人も自ら災害に備え、支援する側に立てる人材が増えれば」と話す。

 

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