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【暮らし】

<どうする相続>介護を糸口に遺言を促す 反発回避 第三者介す手も

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 相続トラブルの防止には、親など本人が元気なうちに自分の死後について考え、家族のために遺言などを準備しておくことが大切だ。とはいえ、本人が何もせず、家族ら周囲がやきもきするケースも多い。周囲からの切り出し方を間違えると、かえって話がこじれてしまう場合も。本人の機嫌を損ねずに話を進めるこつを専門家に聞いた。 (砂本紅年)

 「キーワードは介護。いきなり相続を話題にするよりもハードルが低い」。相続問題に詳しい愛知県東海市の行政書士、佐山和弘さん(52)は、たとえば「おやじがもし認知症になったら、誰がどうやって世話をする?」などと、介護の話題から入るのが無難とアドバイスする。

 実際、相続でもめる原因の一つが介護の負担に基づくもの。「長男の家庭ばかりが介護を担った。結婚した長女は手伝わなかった」などと、相続を機に、互いにため込んだ不満が噴出することも。

 事前に親本人を含む家族全員で「誰がどのくらい介護をするのか」「在宅か施設か」などを話し合っておけば、相続トラブルの芽を一つ摘んでおける。話を進めるうち「負担のかかる長男に、多めに遺産を残す」などと、相続の話に発展することも少なくないという。

 話がいったんまとまっても「これで大丈夫」と安心してはいけない。遺言を準備しないと、後のトラブルの芽になりうるので注意が必要だ。

 ただ「遺言=遺書=死」という連想は根強く、いきなり子どもが「遺言を書いて」と言うと、「俺を殺す気か」と激高したり、「何をたくらんでいるんだ」と警戒して避けたりする親もいる。佐山さんは「遺言はNGワード。『公正証書を作って』と言い換えると印象が違う」と話す。

 「介護の話でも機嫌を損ねる」という親もいる。この場合、法律の専門家など第三者に頼んで切り出してもらう手もある。中でも意外とスムーズに話が進むのが、日ごろ付き合いのある生命保険の営業担当者。「保険の営業の人は『死亡保険金』『死後』などの言葉を使っても違和感なく受け入れられるまれな存在」と佐山さん。付き合いのある税理士がいれば、お願いするのもいいだろう。

 公正証書遺言の作成にあたっては、法律の専門家に依頼する費用や調整などの手続きもすべて子どもたちが負担する覚悟で臨もう。本人はしぶしぶ作る場合が多く、費用が結構かかると聞くと、「それなら、やめよう」というケースもあるためだ。

 費用のかからない自筆証書遺言は今年一月から、財産目録をパソコンで作ったり、通帳などをコピーして添付したりしてもよいことになり、負担が軽減された。子どもが手伝えば、本人の負担も軽くなる。

 後に遺言の有効性を争うトラブルなどを防ぐため、話し合いや手続きにはできれば子どもら関係者全員が参加したい。「密室」で行うと、発言力の強い人が一方的に話を進めてしまうことがある。ファミリーレストランの半個室など、他人の目や耳が気になるスペースがおすすめだ。「忘れてはならないのは親を厄介者扱いせず、尊重すること。それが『争族』を防ぐことにもつながります」

<自筆証書遺言と公正証書遺言> 自筆証書遺言は、書式に従って全文を自分で書き、日付、氏名を入れ押印する。偽造や紛失などのほか、知らせておかないと子どもら相続人が気付かず未発見となる恐れがある。一方、公正証書遺言は証人2人以上の立ち会いのもと、公証人が遺言書を作成し、公証役場で保管する。偽造などの恐れがなく、公証人が法律に照らして内容を確認するため、後日無効になる心配もない。ただ、手続きに時間や費用がかかる。 

◆困り事や体験談募集

 相続に関する困り事や体験談を募集します。メールseikatut@tokyo-np.co.jp、ファクス03(3595)6931。件名に「どうする相続」と記入を。

 

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