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【暮らし】

<Life around the World>青空の下楽しもう

 風薫るさわやかな5月。外遊びが心地よい季節となった。日々の疲れを癒やすのに、ぴったりなのがレジャー。遠出したり、お金を使ったりしなくても、身近な場所でリフレッシュできる方法とは。

◆フランス 新定番「モルッキー」

公園で、友人と集まってモルッキーを楽しむ若者ら=いずれもパリで

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 慎重に狙いを定めて、四メートルほど先に立つ十二本の棒目がけて木の棒を投げる。「六」と書かれた一本が倒れると、学生メイユル・ドエルリユーさん(21)は右手でガッツポーズをきめた。

 フランス・パリで休日の定番となりつつある遊び「モルッキー」は北欧発祥。標的となる棒には一から十二まで数字が書かれ、棒を投げて一本だけ倒せれば書かれた数字が、複数本ならば本数が得点になる。「十二」と書かれた一本だけを倒せば十二点だが、四本倒しても四点にしかならない。合計五十点を目指すが、一点でも多いと二十五点からやり直しだ。

 「ルールが簡単で、誰でもできる。個人でも団体戦でもいいし、わいわい楽しめるのがいいんだ」。市内の公園でドエルリユーさんが魅力を教えてくれた。

 パリは公園が多い。五月になると、日中の気温は二〇度前後と暖かい。休日の午後になると、芝生で寝転んで友人と話したり、家族でピクニックしたり。とにかく家にこもらず、外で過ごす。

 フランスの外遊びといえば、鉄球を投げる「ペタンク」が有名だ。平日でも、昼休みに公園でサンドイッチをかじりながら興じる会社員を見かけるが、楽しんでいるのは男性が多い。鉄球は一つ六百五十〜八百グラムと重いからだろう。その点、軽い木の棒を投げるモルッキーは小さな子どもから高齢者まで、どの世代でも楽しめる。

 このゲーム、ちょうど五十点にするのは難しい。参加者の腕前にもよるが、一ゲーム終えるのに、長ければ一時間近くかかる。「ワインでも飲みながら、ゆっくり友人たちと過ごす。これがフランスの休日ね」。一緒に遊んでいたジャンヌ・パニョルさん(23)が教えてくれた。 (パリ・竹田佳彦、写真も)

並んで立てられた標的の棒。正式な順番はあるが、特にこだわらない人も

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◆中国 顔上げたこ揚げ健康

たこで遊ぶ子どもたち。年季の入ったお年寄りに比べれば、揚げ方はまだまだ

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 高層ビルやマンションを見下ろしながら、たこが上海の空を気持ちよさそうに舞っている。日本では正月遊びのイメージが強いたこ揚げだが、中国では年間を通してのレジャーだ。

 糸を繰る王双喜(おうそうき)さん(68)はたこ揚げ歴十七年。「揚げている最中は嫌なことなど忘れてしまう。適度な運動になり、夜もよく寝られるよ」と話す。

 公園でたこ揚げをする人の多くがお年寄りだ。子どももいるが少数派で、お世辞にも揚げ方がうまいとは言えない。普段は十五人ほど、多いときには三十人の同好の士が集まってくる。

 たこの始まりは春秋戦国時代(紀元前七七〇〜同二二一年)で、当初は人を乗せて軍事偵察に使ったとされる。娯楽となった現在、中国のたこ揚げの特徴は、やたら長いたこ糸を使うこと。顧方野(こほうや)さん(67)の糸は千三百メートル余で、目いっぱい伸ばすとたこは米粒のように見える。

 爽快感が半端ではない。だが、自分で糸巻きを手にすると「適度な運動」どころでないと分かる。風がたこを引く力がすごい。糸を巻き取るのは力仕事だ。「ほら見てごらん」と袖をまくった王さんの右腕は、筋肉が盛り上がっていた。

たこ揚げをする王双喜さん(手前)と顧方野さん=いずれも上海で

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 ところで、顧さんは五年ほど前、頸椎(けいつい)を痛めて首が回らなくなった経験の持ち主。主治医に勧められたのが「毎日五時間、たこ揚げを続ける」ことだった。

 たこ揚げするときは、顔を上げ背筋を伸ばす。「五カ月後には首は完治した。それでたこ揚げにハマったんだ」と、以前趣味だった釣りはやめてしまった。

 毎回三百元(約四千八百円)はかかる釣りに比べ、たこ揚げは道具をそろえれば済む。「年金は年々上がっているし、お金がたまって仕方ないよ」。本気とも冗談ともつかないおしゃべりが止まらなかった。

 (上海・浅井正智、写真も)

直径が30センチ近くもあるチタン合金製の糸巻き。たこ糸自体が1000メートル以上もあるので、糸巻きのサイズも特大だ

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◆韓国 地下鉄で登山へGO

ソウル中心部に近い北岳山の山頂で眺望を楽しむ人たち

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 「こんなに山が近くにある大都市はソウルぐらい」と韓国人が自慢するぐらい、ソウル近郊には標高数百メートルの手軽に登れる山が多くある。地下鉄駅から歩いて登山口に行ける山もあり、週末には多くの老若男女が山歩きを楽しむ。

 市中心部に近い仁王山(イナンサン)(標高338メートル)や北岳山(プガクサン)(342メートル)は李氏朝鮮時代に城郭が築かれた。よく仁王山を散策する許寿永(ホスヨン)さん(72)は「自然に返りたいというのは人間の本能。健康にもいい」と話す。

 青瓦台(大統領府)の裏手にある北岳山は1968年に北朝鮮ゲリラによる青瓦台襲撃未遂事件があって以降、一般の立ち入りが規制され、今も一部に入るには身分証が必要。途中、北朝鮮ゲリラと韓国側が銃撃戦となった際の弾痕が残る松の木もあり、朝鮮半島の現実を感じさせる。

 以前は山頂で韓国の酒、マッコリを飲むことも楽しみの一つだったが、安全のため昨年から多くの山で飲酒が禁止に。外国人観光客が増えるなど、登山の形態も変わりつつある。ただ持ち寄ったキムパプ(韓国のり巻き)や果物を分け合う、和気あいあいとした風景に変わりはない。

 城郭沿いに整備された登山道はスニーカーでも歩けるが、別の登山道に入ると、綱を使って岩を登ることも。それなりの装備が必要となる。またファッションも登山の楽しみの一つ。ソウルの主要な登山口には登山用品店が軒を連ねる。

 「登山時にわざわざ買うのか」と疑問を感じるが、「山で他の人たちの服や用具を見て下りてくると、ついほしくなって買ってしまう」(50代女性)のだとか。登山服はブランド品も多くおしゃれなデザインが多いため、登山のときだけでなく、街着として活用する中高年も少なくない。

 (ソウル・境田未緒、写真も)

ソウルの北漢山登山口にある登山用品店。下山後に登山服などを買い求める人も多い

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