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【暮らし】

高血圧治療、75歳未満見直し 降圧目標130/80未満に

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 日本高血圧学会は四月、高血圧治療ガイドライン(指針)を改定し、七十五歳未満の成人の降圧目標について、最高血圧(収縮期血圧)を「一三〇ミリHg未満」とし、十ミリHg引き下げた。血圧が低い方が脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管疾患を抑えられるという研究結果が、国内外で報告されているのを受けて判断した。どんな影響があるのか。 (小中寿美)

 指針は二〇〇〇年に初めて策定。新指針では、七十五歳未満の成人の最高血圧は「一四〇未満」から「一三〇未満」に、最低血圧(拡張期血圧)も「九〇未満」から「八〇未満」に引き下げた。七十五歳以上も最高血圧を「一四〇未満」に下げた。一方、治療が必要な高血圧の診断基準は従来通り、「最高血圧一四〇以上」「最低血圧九〇以上」の両方か、どちらか一方が該当することで変わらない。

 引き下げの背景にあるのは、年間約十万人と脳卒中による死者が多いこと。学会理事で東京女子医科大教授の市原淳弘さん(58)=内分泌内科学=は「高血圧は脳卒中の最大の原因」と話す。加えて、高血圧による心臓、腎臓の疾患でも年間六千人が亡くなる。

 半面、降圧薬の服用による下げ過ぎも低血圧や腎障害のリスクがある。節目になったのが、米国で四年前に発表された臨床試験の結果だ。約一万人を対象に、降圧目標を「一二〇未満」と厳格に設定したグループと、「一四〇未満」のグループに分けて比べたところ、「一二〇未満」の方が年間の心血管疾患の発症率を25%、心血管疾患以外も含めた死亡率を27%抑えられた。同学会は、この試験をはじめ十九の論文を分析。「一三〇未満」なら副作用の出る例が増えることはないと判断、目標に設定した。米国と欧州の学会が相次いで、降圧目標を「一三〇未満」に引き下げたことも大きかった。

 一方、懸念されるのは降圧薬の処方が大幅に増えることだ。新指針によると、国内の高血圧患者の四割以上に当たる約千八百万人が治療を受けていない。また、治療中の患者も約千二百万人は目標を達成できていない。目標引き下げは未達成の患者をさらに増やすことを意味する。ただ、市原さんは「生活習慣の改善を強化しようというのが学会の考え。新指針が求めるのは意識改革」と話す。

 そのため、新指針では、最高血圧が「一三〇〜一三九」を「高値(こうち)血圧」、「一二〇〜一二九」を「正常高値血圧」と名付け早い段階から生活習慣の改善を促すよう定めた。「健康診断などで高値血圧、正常高値血圧と分かったら、かかりつけ医らの指導を受けてほしい」と呼び掛けている。

<高血圧> 心臓から送り出された血液が、血管の壁を押す力「血圧」が持続的に高くなっている状態。国内の患者数は4300万人で、日本人の病気で最も多い。生活習慣を改善しても血圧が下がらない場合は降圧薬を服用する。

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◆1日6グラム未満 減塩、食事を工夫

 生活習慣の改善で、重視されるのは減塩。塩分を取りすぎると、血管内の塩分(ナトリウム)濃度を一定に保とうと血液量が増え、血圧が上昇する。

 2017年の調査で、国民の1日の食塩摂取量は平均9.9グラム。同学会は6グラム未満を目標にする。学会の減塩委員でもある市原さんは、梅干しや漬物の量を減らしたり、麺類の汁を残したりすることを提案。しょうゆやみそなどの調味料も減らすことが大事で、物足りない人は牛乳やレモン汁でうま味を足すといい。

 塩分を体の外に出す作用があるカリウム、カルシウム、マグネシウムを取ることも有効だ。それぞれキウイ、牛乳、豆腐のにがりに多く含まれる。お勧めの食材は三つとも含まれる大豆モヤシという。

 

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