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【暮らし】

車の高齢者踏み間違え事故 股関節・筋力の衰え一因

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 各地で相次いでいるアクセルとブレーキの踏み間違えによる事故。踏み間違えは年齢を問わず起き得るが、高齢者は股関節が硬くなったり、太ももの筋力が衰えたりすることも、踏み間違えの一因となる恐れがあると、専門家は指摘する。 (細川暁子)

 「高齢になると、股関節の可動域が狭くなる。すると、上半身を反転させて右後ろを振り向いた時に、一緒に足も右に動いてしまう。そのため、ブレーキを踏んでいるつもりでも、アクセルを踏んでしまうことが起こり得る」。福山大(広島県福山市)工学部准教授の関根康史さん(55)は言う。関根さんは元自動車メーカーのエンジニアで交通事故総合分析センター(東京)で働いた経験もある。

 こうした踏み間違えは、右後ろを向いてバックする時や、高速道路などで本線に合流する時、料金所での精算で窓から腕を伸ばした時などにも起きる可能性がある。踏み間違えた理由が不明な事故も多く分析は難しいが、関根さんは股関節の問題は、高齢者の踏み間違え事故の大きな理由の一つとみる。

 関根さんは二〇一七年に広島県警と、六十二〜八十六歳の四十六人に、車を止めて右後ろを見ながらアクセルやブレーキを踏んでもらう調査を実施。右側に上半身をひねると、右足の爪先が右に動く傾向は全体に見られ、ブレーキを踏むように言っても、アクセルを踏んでしまう例もあった。

 「ブレーキとアクセルの間隔が近いと、踏み間違えのリスクは高まります」と関根さんは言う。二つのペダルの距離に関する定めは法律などには特になく、関根さんが任意に測定した二車種は五・五センチと八センチと、二・五センチの差があった。

 ペダルの位置の高低差にも注目すべきだという。多くの車種で、ブレーキはアクセルよりもドライバーに近い位置に付いている。段差が大きいとアクセルからブレーキに踏み替える時は足を引き上げて左にずらし、ペダルを踏むという作業が必要になる。

 日本転倒予防学会理事長で、東京大名誉教授の武藤芳照さん(68)は「ペダルの踏み換えで使うのは、太ももの筋肉。だが、太ももは筋肉が最も衰えやすい部位で、高齢者は素早く足を持ち上げる動作はしにくくなる」と指摘する。

 関根さんは「レンタカーなど普段と違う車を運転する際には、特に注意してほしい」と呼び掛け、自動車メーカーにも「こうした高齢者の特性に配慮した車の開発も事故を減らすには重要ではないか」と話す。

◆自動ブレーキ 過信禁物

 近年は、障害物をセンサーやカメラなどで検知し、緊急時に自動でブレーキをかけるなどの先進安全装置付きの車が増えている。だが、国民生活センターによると、二〇一二年に三件だった先進安全装置に関する相談は、一六年は三十七件に急増している。

 一七年にセンターは、衝突時の被害を軽減するブレーキや、ペダルを踏み間違えた時の加速を抑制する装置、車間距離を制御する装置などの先進安全装置が付いた車に乗っている十九〜七十九歳の二千人を対象にアンケートを実施した。

 「衝突被害軽減ブレーキが予期せず作動した・利かなかった」「急に加速した・減速した」など、想定外の出来事を経験したことがあると答えた人は、四百九十一人(24・5%)だった。

 安全装置が付いていても、他の車にぶつかるなどしたことがあるという人は百二十二人いた。「(自身が)装置の注意事項をよく理解していない」と感じている人も二割弱いた。

 センターは「子どもなど背が低い人や暗闇にいる歩行者らは、センサーが反応しなかったり、感知が遅れたりする恐れがある。安全装置が付いていても、過信するのは危険」と呼び掛けている。

 

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